試写にて鑑賞。久しぶりのシネマート新宿‼
初めての来場者が結構いたらしく、「ちっちゃい」だの「狭い」だの言われてましたよ。確かに小さいけどね。ここに日劇と同じ値段払うのはどうかと思うけどね。それでも、公開館数の少ない韓国映画にはありがたい場所なのだ。
と言いながら、近頃めっきりご無沙汰です。
ご無沙汰と言えば、パク・シフ君も日本のスクリーンに登場するのはお久しぶりではありませんか?
私は「殺人の告白」以来だ。その間に「君の香り」ってのがあるらしい。
基本的に韓国映画はラブ系は観ないから、詳しくないけど、彼の端整なお顔立ちからすると今回のような映画はあってるんじゃないでしょうか?
まぁ、彼も俳優というキャリアを積む中で辛いアクシデントもあったし、中国に進出できたのは良かったね。
さてさて、内容は…
会場行って、チラシを見るまで相手役がユン・ウネちゃんだと気づきもせず、申し訳ありません(汗)
オープニングでチラッと映る少年と少女のチャリ2人乗り。これで、2人の出会いはしっかりインプット。
その後、喪服の男女が車に乗り込むシーンがあり、骨壷を抱えるシフ君があからさまに遺族から疎まれている様子が分かる。
こんなふうに少しずつ、エピソード1つ1つが断片的に時系列を前後して登場してくる。
韓国映画によくある、隠れたエピソードを後で流して、「そうだったのかぁ」と思わせる流れ(笑)
でも、その運びが上手く行ってると思う。現在の葬儀後の場面から6年前に遡る。
明らかに何かあったらしい女性が1人、北京へやってくる。おどおどと慣れない街を歩く姿は頼りないというより、なんだか痛々しい。
きっと心に傷を負って、この地に来たに違いない。
観光途中の道で倒れ、同じ韓国人だと知った男性に助けられる。彼は10年かかって、やっと夢のパイロットになった男。
余りに不安定で心配だと友人に言われ、彼女の観光案内役として呼び出された男。
そんないくつかの出会いを重ね、2人は結婚する。それは2人にとって、不本意な結婚。何が不本意なのかはそれぞれ違う。その違いが、あとになって大きな隔たりとなって、2人の間に横たわって行くんだけど。
夫ソンジュンは、妻ウノンをただの同居人くらいにしか考えなかった。耳の障害でパイロットの夢が敗れて地上勤務になり、どこかやけっぱちな彼は母親の言いなりで、完全に人生ほん投げ状態。
それでも、彼の顔色を見ながら、一所懸命尽くす妻は彼の何に惚れたのか分からない。
それが分かるのは、葬儀の後で妻の遺品の中で電子音が鳴ってから…済州島旅行の予約を知らせるアラームだ。
確かに妻から約束させられた旅行を思い出す。そして、彼は妻が行きたがっていた彼女の故郷の済州島へ旅立つ。
そこで、北京で出会うまでの妻の知人を訪ね、彼は自分の知らない妻の姿を見つけ出す。
ボート部の部室に残っていた妻の私物。その中から、夫は自分の忘れ去っていた過去を見つける。
こんな素敵な出会いをした少女を彼はすっかり忘れていた。北京での偶然の再会ですぐに気づいた妻とは大違い。この思いの違いが埋められることが無いまま、最後の時がやってくる。
ちょっと悲しすぎる。妻の愛が悲しすぎる。
そして、夫がバカ過ぎる。
仕事に挫折した夫の心の痛みが分かるからこそ、彼女はただ黙って寄り添っていた。夫はそれが妻の思いやりだなんて気づきもしない。もう少し、ホントにもう少しだけ彼女に目を向けていれば、気づいたはずのことなのに、彼には何にも見えてなかった。
どれだけ後悔しても、もう時既に遅し。
言葉はノートや録音機に残すだけじゃなく、しっかりと声にして相手の心に残さなけりゃいけないのだと…
観終わって、こうして夜のお1人様試写会に文句も言わず出してくれた夫や息子に「ありがとう」って、ちゃんと伝えなきゃって思った。
結構、考えちゃう哀しい恋物語だけど、済州島で妻の学生時代の三角関係のエピソードを聞いて、その相手のとこに乗り込んでいっちゃう夫に笑ってしまった。自分の知らない妻の本当の姿を他人から聞かされることの悲しさを彼の笑っちゃう行動で和らげてくれる。
でも、あんた、遅いよ…と。今更、ヤキモチ焼くなんて…と。なんで、その気持ちを素直に彼女にぶつけなかったのかと。もう手遅れの思いが…
彼女はその日が来る前の晩、部屋で夫が落とした大切なものを覚えてた。翌朝、夫がその大切なものを忘れて出かけて行ったから、それを握り締めて追いかけた。
彼女は必死に夫の名を呼んだけど、右側から呼んだから、夫の耳にその声は届かなかった。
こんな哀しい別れは無い。ダメ夫が、彼なりにちゃんと妻の思いを受け止めたとこで、妻のストールが風に飛ばされていくとこはなんだかねぇ。辛いわ。
けして、ハッピーエンドではないけれど、大切なものを大切なものとしてあなたはちゃんと見てますか?と問われてるような映画。
済州島の風景は抜群です。その風景と共に思い出を美しく心にしまった妻の初恋に夫が涙するシーンは、彼の悔恨に溢れてる。彼がどれほど妻を傷つけたのか改めて突きつけるシーンだから。
ラブ系映画は、もっとお気楽なのが良いわ。こういうお話はちょっと引きずっちゃうから…韓国映画恐るべし‼