試写にて鑑賞。左利きのボクサーの話かと思ったが、違ってた(^▽^;)
連戦連勝のボクサー。いきなり、打ち勝つタイプではなく、打たれ強く、最後に大逆転という試合展開が多い選手だ。
彼は施設の出身で、同じ施設で出会った妻と可愛い娘との3人家族。
彼は貧しく寂しい子供時代から這い上がり、その腕1本で広々と豪華な邸宅で贅沢な暮らしを送っていた。そりゃあ、成り上がってやりたいよね?
死闘を繰り広げた試合後、同じ階級の選手から挑発された主人公ホープ。彼は、すぐにキレる。それが要らぬ面倒を呼び込むことも多い。子供の頃からずっと側を付いて離れなかった妻は、そんな夫の危うさが心配でならない。
そして、妻の心配が現実となる日が来てしまう。チャリティー・パーティの席上、彼を王座の位置から引きずり下ろしたい同階級のボクサーがまた彼を挑発する。
相手にせず、無視しろという妻の叫びも耳に届かない。互いの陣営も交えて殴り合いが始まった時、1発の銃声が…
殴り合う男達を避けていたはずの妻がよろめく。銃弾は彼女の命を奪った。
相手にするなと必死に止めた妻を無視して殴りかかった。その結果が妻の命を奪うことになった。
豪邸での贅沢な暮らしも命懸けのファイト・マネーに拠るものだ。勝てば勝つほど、追い詰められていくまるで綱渡りのような日々だったのだ。生活が荒み、何事も上手く回らなくなったホープの足元は一気に瓦解する。
豪邸や車、家の中の家具まで一切が人手に渡り、最愛の娘さえも裁判所の命令で子供との暮らしが出来る状況になるまでと養護施設に預けることになった。
ドン底を履い回る日々。数々のタイトルに飾られた彼のプライドはズタズタだ。
それでも、娘との生活を何としても取り戻したい。
かつて自らもボクサーとしてリングに上がり、今は街の寂れたジムで、貧しい子供たちにボクシングを通じて夢を持たせようと必死にあがく男を訪ねたホープ。
彼の元でジムの掃除から始め、それまで攻撃一辺倒だったボクシング・スタイルの彼が防御やステップでかわす技を身につけていった。
いつも強く輝いていた父親の姿を愛した娘は、全てに自信を失った父親を受け入れようとしない。
厳しい現実の中でもがき苦しむホープは、かつて自分の陣営でマネージメントをしていた男から、現チャンピオンとの試合を勧められる。
かつての仲間はみな敵側の陣営にいる。ホープはジムのオーナーにトレーナーを依頼し、試合に臨む。
妻への悔恨、娘への愛、そして、仲間達への信頼。ホープはかつてないほど戦いに全力を傾ける。
彼の攻撃一辺倒のスタイルしか知らない観客や敵陣営は、よく動き、防御を固めるその試合運びに目を見開く。
妻の事件や長いブランクを知る世間はホープの負けを予想していた。ところが、試合はそれに反して最終ラウンドまでもつれ込み、さらに最後の最後で、彼の強烈な左パンチを目にした。
右利きのホープが右から打つと見せかけ、左で勝負する戦法。それがタイトルのサウスポーってことなのね?
原題もそうだった?ぼんやりしてたのか、原題を観た記憶が無い(^▽^;)
ストーリーはまぁありがちな感じだけど。なにより、この映画は俳優に尽きる。
主演のジェイクは体づくりからもうため息ものだ。妻のレイチェルも落ち着いた演技で、不安を抱えながらも夫を支える強い妻を表現する。そして、妻亡き後、まるで小さな妻の如く、父を支えていく娘役の子役ちゃんが素晴らしい。
ジムのオーナー、フォレスト・ウィティカーはもうどっしりとした存在感で、ホントにこんな人いそうな雰囲気。
で、俳優に尽きると言いながら、もう1つのポイントが‼
リング上でのファイト・シーンが凄いのだ。驚くほどのリアリティ。まるで、ボクシング中継を見てるかのような臨場感。監督のアントワン・フークワが元ボクサーだと聞いて、納得だ。
宣伝では感涙、号泣系でアピールしてるけど、むしろ泣きポイントはそれほどでもないと思う。力強い再生の物語として、涙より爽やかさが残る。
しっかりとした演技力のある俳優とその世界の現実を知る監督による素晴らしい濃密な時間をお楽しみあれ(ง •̀_•́)ง