今日も徒然、中洲日記

ほどほどに映画が好き。ほどほどに食べることが好き。日々気づいた事を綴ります。

ロイヤル・ナイト 英国王女の秘密の外出


試写にて鑑賞。実話だそうです。つい先日も元気な姿がニュースに登場していたエリザベス女王の19歳の時のお話。


チラシを見た時に主演の女優さんが、まさしく王女と言わんばかりの凛とした美しさになんとしても観たいと思った。それが叶って良かったわ。


映画はドイツの降伏を受けて、その5月8日を戦勝記念日とするまさにその晩から始まる。


午前0時をもって戦勝を宣言する国王は、スピーチの内容を皇后にアドバイスを貰いながら必死で考えている。


国中が戦争終結に喜び沸き立っているのは宮殿に缶詰状態の王女たちにもヒシヒシと伝わってくる。


そこで、2度と訪れることの無いこの日を宮殿ではなく、外から眺めたいと準備に追われる父、国王に懇願する2人の娘。


やんちゃで奔放な妹のマーガレットと違い、エリザベスの外出理由には一理ある。父のスピーチを聞く国民の興奮を肌で感じたいという彼女の説得が功を奏し、しっかりと幹部軍人の護衛付きで、特別に数時間の外出が認められる。


マーガレットは端から護衛をまいて、あちこち気になる場所を訪ね歩きたい。対して、エリザベスは彼女の母の策略で王女としての挨拶に追われ、なかなか思うようにいかない。


隙をみて逃げ出したマーガレットを追って、エリザベスの一夜は妹探しの一夜となった。護衛がいなければ、自分の国なのに右も左も分からない上に、何をするにも必要な小銭すら持ち合わせていない、そんな現実を彼女は知る。


マーガレットと違う方向に向かうバスに乗ってしまったエリザベスは、運賃を払う金も無い。たまたま隣り合わせた軍人に立て替えてもらうのだが、この出会いがエリザベスに「真実」を知ることの大切さを教えてくれる。


マーガレットを探して入り込んだ酒場で、国王の戦勝スピーチを聞いたエリザベス。それまで、大騒ぎだった人々は急に静まり返り、父の言葉に姿勢を正してじっと耳を傾ける。


彼女の案内役となった空軍兵士ジャックは、静まり返ったその場所で国王のスピーチに悪態をつく。国王一家も戦争には協力した。パンを焼く母を手伝い、自分も届けた。エリザベスはジャックの物言いを許せない。


しかし、妹探しで行動を共にするうちに、次第にジャックの胸の奥に戦争の痛ましい記憶があることを感じ始める。喜び沸き立っていた人々も終結は嬉しいが、それだけではない複雑な思いを戦争というものに抱えていること知る。


こうして、宮殿の中にいては生涯知り得なかった市井の人々の思いに触れたエリザベス。この経験がその後の彼女に人生になんらかの示唆を与えたのは疑う余地が無い。


なんとか妹を見つけ出した後、エリザベスはそれまで隠していた自分の素性を明らかにする。


翌朝8:00の点呼までに基地に戻らなければ、脱走兵として追われることになるジャック。せめて、戦勝記念日だけは行商人として必死に働く母と過ごしたかったからこそ、基地を無届けで離れたのであろう。


そんなジャックはエリザベスたち王族を支える国民の姿を母を通して彼女に教えてくれる。


王女と知った後も、それまでと変わらず接したジャックに彼女はどれほど救われたのだろう。


国王夫妻にジャックを紹介し、朝食を共にした後、自らの運転で基地まで送り届け、エリザベスの奇跡の一夜は終わる。


その後、互いに口外することも無かったであろう輝く一夜。身分違いの恋とまでいかない微かなきらめき。ステキな青春映画として仕上がっている。


妹マーガレットの珍道中とそれに振り回される護衛武官の慌てぶりが笑いを誘い、楽しい。


ところで、この実話はどこから出てきたのかしら?映画の中でも国王に念押しされてたけど、当時の王宮からは一切口外されなかったろうし、ジャック自身も国を守る兵士として、口を噤んでいた思うし…


まだまだ、嘘みたいな実話エピソードはあるのね?