今日も徒然、中洲日記

ほどほどに映画が好き。ほどほどに食べることが好き。日々気づいた事を綴ります。

レッドタートル ある島の物語


ジブリ作品では、初の海外クリエイターとの共同作品。試写にて鑑賞。


ジブリ作品は息子と観に行くと決めていたんだけど、彼が中学3年頃に一緒に観た映画で2人とも「もう、ジブリはいいね(観なくていい…という意味)」という感想を持ち、それ以来、新作のジブリ映画は観ていない。


全編セリフ無し。登場人物がコミュニケーションをとる際も特に言葉が必要ないかのような雰囲気。ただ、彼らが感情を露わにする時、大きな叫び声をあげる。「声」と言ったら、それくらいしかない…


ある大嵐の日。1人の男が波に呑まれる。嵐が止んで、海に浮かぶ島に打ち上げられた男。なんとしても、島を脱出しようと筏を作って、海原に漕ぎ出すのだが、外海に出るところまで来ると筏を下から突き上げるような衝撃を受け、海に投げ出されてしまう。


何度目かの挑戦の時、大きな赤い亀に出会う。その亀のせいで筏は行く手を阻まれたらしい。


男は自分の背丈ほどある亀を捕まえ、浜辺で動けないようにひっくり返してしまう。強い日差しを浴びて、干からびてしまう亀。甲羅の腹の部分がヒビ割れると亀の姿は人間の女性の姿に変わってしまう。


慌てた男。甲羅に水を浴びせ、日除けを作り、女が目覚めるのを待つ。


自然の成り行きで、男と女は共に手を携えて暮らし始め、男の子が誕生する。


大海原にぽっかりと浮かぶ島。他に誰もいない世界。年月を重ね、息子が立派に成長した頃、再び大嵐が襲う。


全て流されてしまった島。3人は嵐で倒された木を集め燃やす。その大きな炎が目印になったのか、息子を迎えに仲間達がやってくる。当然ながら、仲間は「亀」!!


「鶴は千年、亀は万年」


長い寿命を生きる息子に島の生活は窮屈だ。息子が旅立った後、人間である男は女の側で寿命を全うする。


そして、女は再び元の姿に戻り、海へと旅立つ…


まるで、現実感の無い全くのファンタジー。日本の精巧なアニメーションと違い、人の目が1つの「点」で描かれる緩い輪郭の絵は、お話にマッチしてるとも言える。


セリフが無い分、お話の解釈は観る人に委ねられている。いかようにも解釈可能と言える。


近くの席の人が終映後、キリスト教の影響を色濃く受けた作品だと連れに講釈を垂れていた。


私はキリスト教の教義も知らないし、どこにそんな色が出てたのかも分からない。


私が感じたのは、「人魚姫」や「かぐや姫」の色合い。


海で溺れている男を助けた亀が、男を好きになり、逃げ出そうとする男の行く手を阻み、人間の姿になって彼の側で暮らした→「人魚姫」


何度か登場する夜空に浮かぶ月。人間の姿になった亀は月を見る度、自分が人間でいられる時間は限られていること、いつか元の世界に戻らねばならないことを思い出す→「かぐや姫


ジブリが大好きな人なら楽しめるのかな。私のように勝手な解釈で無理矢理納得してしまうのも1つ、観た人とそれぞれの思いを語り合うのも1つ。


でも、正直申し上げるならば、やっぱり私は「ジブリはもういいかな」


よく分からなかったし。ただ、上映時間81分はなかなか良い出来。