今日も徒然、中洲日記

ほどほどに映画が好き。ほどほどに食べることが好き。日々気づいた事を綴ります。

ある天文学者の恋文


監督、ジュゼッペ・トルナトーレ×音楽、エンリオ・モリコーネ


とくれば、絶対ハズレは無いと相当期待値が高かった。そのための結果だから、許してほしい。普通の話だった(−−;)


高齢の天文学者は、教え子との愛を育んでいる。教え子は美しい女性だが、大学に通うかたわら、危険なスタントの仕事をしている。


撮影現場では命懸けの彼女を支えているのは父親のような高齢の大学教授。


彼が所有する離れ小島での2人きりのバカンスを終えて戻ってみると、教授は仕事を理由に転々とし、彼女とはテレビ電話でのやり取りでしか顔を見ることが出来ない。


教授と教え子という間柄でも分かる通り、2人の関係は不倫だ。


そこがまず気に入らない。2人の関係で傷つく人も多いはずなのに、2人の愛がとても美しく純粋なものとして描かれている。


そして、久しぶりに教授の授業が始まると思って、教室に駆け込んだ教え子が耳にしたのは教授の死だった。


病気で臥せっていたことも、死んでしまったことも彼女には知らせがなかった。


そして、彼女には教授からのメッセージが届き始める。


天文学者は心から愛した女性と少しでも一緒にいたかった。それが、叶わぬことであったとしても、なんとしても自分のメッセージを伝えたいと自分のまわりのあらゆる人の善意に彼の望みを託した。


いくつかの手を通って彼女の元に届くメッセージの中には彼女をイラつかせるものがあった。


子供の時に起きた事故が原因で父を失い、母とも意思の疎通ができない現在の苦境を打破するために教授はメッセージを送るのだが、彼女にとっては余計なお世話で、なにもかも見透かされるような彼の行動に怒りが爆発してしまう。それがためにメッセージの到着を拒否してしまう。


彼女の拒否は、その後の教授のメッセージを消滅させてしまった。いったいどうしたら、再び彼のメッセージを聞けるのか。


生前、もう1人の自分について話していたことを思い出し、やっと、教授の新しいメッセージを受け取ることができた。


こうして、天文学者が生前に残したパズルのような問いかけに彼女は導かれ、大学を優秀な成績で卒業し、スタントの仕事も辞める。


そして、天文学者が遺産として残してくれた2人で過ごした離れ小島の家に向かう。


純愛なんだろう。天文学者にとっては、家族と同じくらい大切な恋人だったのだろう。でも、不倫じゃん。


どんなに美しく描いても結局そこに戻ってくる。


死んだ後も次々と届くメッセージが最初はミステリアスに感じたけれど、別に何かの隠し技があるワケでもなく、単に彼のまわりの善意の第三者の手によるものだと分かった時、なんだか興味半減というか…


街の風景や小島から臨む景色など美しいのだが、2人の愛情の行方が今1つ、よくわからない。


彼女は確かに天文学者に恋してたのかもしれないが、死んでしまった男にもその後もずっと恋心を抱き続けるほどの強い感情を彼女の姿から感じられなかった。


非常に強い思いが無ければ無理だと思ってたけど、亡くなった人を思い続けることはこうも淡々としてるのかと、ちょっとなんだか不完全燃焼気味(−−;)