今日も徒然、中洲日記

ほどほどに映画が好き。ほどほどに食べることが好き。日々気づいた事を綴ります。

海賊とよばれた男


「スニークプレビュー」というタイトル不明の試写会にて鑑賞。公開は12月だが、観たのは9月。受付でアンケート用紙を渡され、それをパラパラめくってたら、その日観る映画が分かったという形。


東宝の試写だったから、東宝製作の映画だとは思っていたけれど、11月公開作辺りかと思っていたので、予想外の作品だった。


実を言うと、最初からこのタイトルが分かってたら、多分試写会には申し込んでないかなぁ。一時期、百田尚樹さんの著作の面白さにハマって、いくつか一気に読んではいたけど…


この「海賊とよばれた男」の登場人物たちは自分の勤める國岡商店への誇りが高く、どんな苦境にあっても愚痴を言わず、真摯に仕事に打ち込む。その姿が描写される度に素晴らしいと思う。でも、あんまり素晴らしい人たちなので、現実感が無くて(;^_^A


だから、最後まで読み切れなかった。もしかしたら、私が投げ出した後、そのいろんな事が起きてたのかもしれないが…


百田尚樹原作の映画と言えば、「永遠の0」だろう。原作は読んだし、恐ろしく感動もしたのだが、映画は未見。


主人公を演じるのが岡田准一君というのは、私の持ってたイメージと全然違っていて、最初岡田くんの名前を聞いた時、どの役をやるのだろうと思ったくらい。


今回も同じ岡田君の主演となれば、ジャニーズ事務所の絡みかと思っちゃった(;^_^ASMAP解散騒動の後だし…(;^_^Aジャニ・ファンの方、申し訳ない(。-人-。)


そんなおばさんの勘ぐりは置いといて…


岡田君は主人公の27歳から90歳をすぎて死ぬまでを演じる。顔だけはなんとか特殊効果で作りこんでも、さすがに無理かなぁ。あんなに体格が良くて、シャンと車椅子に座ってる90歳って…


他の役者との年齢的バランスもちょっと難しい。20代、30代ならまだしも、60過ぎをちょっとした貫禄と白髪で乗り切るのはちょっと厳しい。その年代を演じる時、実年齢が近い俳優が側に立つわけで…ストーリー以前にそんな脇の部分が気になって、気になって仕方なかった。


また、主人公は仕事一筋の人だったらしく、彼に家族の匂いが全く無い。最初の妻がいた頃は妻役が綾瀬はるかだったから、それなりに描かれてたけど、その後の妻や子はほとんど登場しない…


子供が出来ないから、跡継ぎの問題で家を去らざるを得なかった先妻の悲しさが、時代とは言え、1通の手紙で済まされてしまうのもなんとも悲しい。


その後、跡継ぎのために後妻に入った妻については語られることもなく、いつの間にかそこに「いた」。いても、いなくても、お話の進行上全く問題が無い。そんな家族の描き方が悲しい…それなら、なまじっか描かない方がスッキリ。


試写会のちょっと前の時期に、出光の合併が創業者家族の反対にあい、頓挫したとニュースになった。その状況となんだか繋がってるような…変な思いが先走る。


こうして、ストーリーよりも気になることがいっぱいの2時間25分(^◇^;)


あくまで、男の物語で、仕事の誇りやその真摯な仕事ぶりの物語。


そういう意味で、創業者がその豊かな発想で事業を拡大していく若い頃、当時の他の石油商との間に軋轢を生み出していくくだりを描いた本編最初の方が話としては断然面白かったな。そう、最期の時まで見なくても彼の人となりは十分伝わったし…


と、私は思ったのです。その頃なら、岡田君の年齢的な部分も全く問題なかったし…内容以前に気になることが現れる前だったから(汗)しかも、創業者を囲む人々の絆が結ばれていく行を見られるので…


どちらかと言えば、気になることに囚われる「スキマ」があったと言うべきか…


たとえ長尺でも、夢中になって、あっという間に観終わってしまった印象を抱く映画は、少々の気になる部分はあっても、そこにひっかかることって無いと思う。でも、この映画に関して、私個人はそうじゃなかったという事。


私的にはこんな感じの感想です。本来、観る気の無かった映画を試写会で見せてもらえるのはありがたい。そこで、自分の思い込みを180度転換させてくれる素晴らしい映画に出会うこともある。最近だと、例えば、「湯が沸くほどの熱い愛」がそれ。でも、今回は違ったというだけ…好みもあるしね…


やっと、普通の試写会も開催され、そろそろ公開です。「海賊とよばれた男」…さぁ、皆さんはどうでしょう。


ちなみに、私が観たのは、最初にお知らせしたとおり、「スニークプレブュー」なる試写会での上映です。その後、手が加えられてる可能性もあるので、私の感想はピントがずれてる可能性もありそうです。


映画という「枠」だからこそ描けた大型タンカーの登場シーンもあるけれど、昔、子供の頃にテレビで見た山善創業者の一代記「どてらい男(ヤツ)」みたいにドラマで描いた方が向いてるお話じゃないかと思った。


テレビドラマとしての一企業人の人間ドラマは、今は流行らないのかなぁ。