パートナーとして認定されて生活していた同性カップルが実際に「結婚」を認められるようになったきっかけとなる同性カップルの訴えとその活動が描かれている。
アカデミー賞で短編ドキュメンタリー賞を受賞した実話の映画化。
年上の女性の方がガンになり、余命幾ばくも無い中での戦いを描く。それでも、ことさら感動作に仕上げてるワケではなく、2人の出会いから、法的権利を勝ち得て1人が亡くなるまでを…
まずは出会いのシーンなんだけど、最初は全く気づかなかったけど、2人が出会ったバレーボールの試合は、女性同士が出会うためのイベントだったのね。
互いに愛する人を求めていた2人はすぐに惹かれ合う。この辺りはちょっと感覚的に呑み込めないんだけど、まぁ、男女の出会いと同じように考えれば良いのかな?
別に同性カップルに偏見を持ってるワケじゃなくて、自分の感覚に当てはめて映画の世界観を見ることが多いけど、それがちょっと最初は難しかった。自分に無い感覚のものだからね。
でも、2人のハグのシーンなどを観てたら、違和感なく受け入れられるようになった。自然だったのね。
でも、やっぱり、世間の目があるから、2人の関係は簡単に公にできない。そこが辛いよね。自分たちは何一つ悪い事はしていない。それでも、2人がそのままに生きられない…
そこを生きつ戻りつしながらも、少しずつ2人は前を向き、2人で暮らす決意をする。
そうして、築いた2人の絆。そこに悲しい現実が押し寄せるのね。郡警察で長年優秀な功績を修めてきた年上の女性の方が、ガンに冒されてしまう。
万が一死ぬことがあったら、自分の遺族年金の受け取りをパートナーが出来るようにと訴える。
男女の夫婦なら何の問題もなく、支給手続きがなされるのに、彼女は同性カップルだから、その権利が無いと門前払い。
2人はお金が欲しいわけじゃない。ただ、公平に1人の人間として平等に扱ってほしいと言ってるだけ。
彼女達の訴えが世間を動かし、警察の同僚達の心も動かしていく様には涙を誘われる。
大切な人がもう長くはないと分かった時、2人が共に暮らすために愛情込めて作り上げた生活空間をそのまま残したかっただけだ。
そんな思いを頭でっかちな保守派の政治家に打ち負かされるのは誰だって頭にくるよね。
そうした、普通の人々が普通に感じるようなことを勝ち取るのがどれほど大変なのか…
同性婚支援団体のおじさんが怪しい。こんな真面目な活動の先陣をきるのが、なんとも怪しいおじさんなので、ユニークだ。実話ベースだから、確かにこんな個性的なおじさんがいたのかもしれないけど、邦画ならまず間違いなく違うタイプの人になってたろうな。
やっぱり、この辺りが洋画の懐の深さ。
そして、長く相棒を勤めた警察の同僚が死を前にした同性カップルの2人を友人として誠実に支えていく。
彼女の仕事ぶりを皆が認めているから、最終的に警官たちも支援の輪に加わる。
偏見に流されず、その人となりをしっかり見届けることの大切さを教えてくれる。
静かに思い出にふける海辺のラストは美しい。