今日も徒然、中洲日記

ほどほどに映画が好き。ほどほどに食べることが好き。日々気づいた事を綴ります。

アイヒマンを追え!ナチスがもっとも畏れた男


第二次大戦後、政治の要職にナチの残党が蔓延るドイツで、絶大な力を持って、ホロコーストを推進したアイヒマンを捕らえることに情熱を傾けた1人の検事・フリッツ・バウワーのエピソードを映画化。


アイヒマンは大物ではあったが、戦後ドイツを離れ、世界各地で目撃情報が飛び交う状態だった。


ナチの残党を追求することこそ、ドイツ民主主義であり、「正義」とするバウアーは、ユダヤ人故に「復讐」に走っていると揶揄されていた。


政治の中枢にはナチス親衛隊の生き残りの多くが名を連ねており、バウアーによる真実の追求は彼らにとっても頭が痛い。


何としてもバウアーを失脚させたい彼らと、何としても海外に逃げ出したナチス残党を捕らえたいバウアー。


その駆け引きを追うストーリー。国家反逆罪にとわれることも辞さない彼は、ヒトラーへの復讐心の強いイスラエルモサドに取り引きを持ちかけたり、なかなかシビアな内容だ。


国のために働く検事がまるで国家の敵のように扱われる現実の中で、情報戦を制し、アルゼンチンで偽名を使って生きていたアイヒマンの所在を確認したバウアー。


あくまでも、イスラエル側が発見したと報道されたアイヒマン拘束のニュースの陰で、バウアーとモサド側の法律家たちとの話し合いで、アイヒマンのドイツ移送が確認された。


しかし、国対国の話し合いになると、彼らの思惑は簡単にねじ伏せらてしまう。


結局、ドイツでアイヒマンを裁くことが出来なかったバウアー。


何としてもドイツの地でナチス残党を裁かねばならない意味を彼ほど重く受け止めていた人はいないのだろう。


バウアーがアイヒマン捕縛に関わったことは、その後10年ほど秘匿されていたようだ。バウアーの追求を、彼らの個人の趣向にまで監視の目を向けて阻止しようとしたナチ親衛隊の生き残りたちの暗躍ぶりも明らかになるまで時間がかかったんだろうか。


歴史の表舞台には現れなかった真実に光を当てた映画はホント、最近多くて、この映画も戦後70年経って、やっと真実が語られるようになったエピソードの映画化。


例えば、年末の「ヒトラーの忘れもの」もしかりね…


きちんと歴史的なお勉強をしておくと、なおさら、背景が分かって良いのではないかしら…