今日も徒然、中洲日記

ほどほどに映画が好き。ほどほどに食べることが好き。日々気づいた事を綴ります。

雨の日は会えない、晴れた日は君を想う


原題は「Demolition」…邦題との違いが凄い。試写会後に、この意味について話があったらしいが、私は早く帰らなきゃいけなくてトークショーは聞かなかったので、意味が分からず、ちょっと悩む(汗)


この邦題は、ラスト近くで本編に登場する言葉なんだけど、そんな意味のある言葉を残した人の存在感がとても薄かった。。。


私には原題の方がしっかりくる映画だった。だって、そのまんまだったもん!!主人公の行動が。。。


主人公は金融マン。妻の父親が経営する会社にコネで入社し、それなりの地位を得ている。いわゆるセレブな人だ。


しかし、彼自身はもっと庶民的な家で育ち、ゴミ1つ落ちてない家に暮らすような人間ではないのだ、本来は…


仕事人間の彼は、妻の運転する車で通勤途中、交通事故にあい、呆気なく妻を亡くす。自分はかすり傷なのに…


そこから、彼の崩壊が始まる。最愛のはずの妻の死に涙1つ流れてこない自分に、彼は疑いを持ち始める。妻を愛していたのだろうかと。


妻が死んだ直後、スナック菓子を買おうとした自販機が故障した。主人公は、自販機の会社に苦情の手紙を送る。


彼はその手紙に妻とのあれこれを書き記す。涙は流れなかったけど、妻との生活については言葉が留まることをしらない。


顧客係の女性は、彼の辛い心情を慮って、時間外に電話をかけてくる。


主人公と顧客係との出会いは、行き詰まった日常に足掻いていた2人に新しい風を吹き込む。


妻の父親から立ち直るためには、破壊することだ言われ、主人公は身の回りの道具を次々と解体し始める。最終的には自分の家まで…


それは原題の通り、彼の日常の破壊だ。彼自身の心の解体と再構築。


う〜んと遠回りをして、彼は人生の再構築の道へ戻ってきた。でも、きっと1人では解体だけで終わっちゃったね。シングルマザーで問題行動を起こす息子との関係に悩んでいた顧客係母子に出会ったからこその、だね。


暴力事件の被害にあって大怪我をした息子。でも、互いの「姿」を見失う前に、大切な存在のありがたさに気づいた母子は幸せだったのかもしれない。主人公は、もうやり直すことはできないのだから。


亡くなった妻にも愕然とする過去があり、主人公夫婦の行き違いは主人公1人のせいだけではなかったことが分かるが、お互いに互いの存在が当たり前すぎて、見失ってしまったのだ…


すぐ側に居るもの、あるものの大切さにはなかなか目が向かないのね。それはみんな同じ…


淡々と破壊と再生の日々を見続ける映画だけれど、主人公とシングルマザー母子の出会いから始まるその日々が心に沁みる。全く接点の無いようなそれぞれの日常が重なる時、化学反応でも起きたみたいな…


それにしても、ジェイク・ギレンホールはこういう「狂気」が透けて見える役、上手いなぁ。最近、ナオミ・ワッツも良い味を出すし。子役の少年もピッタリ。


良い映画だった。。。