今日も徒然、中洲日記

ほどほどに映画が好き。ほどほどに食べることが好き。日々気づいた事を綴ります。

アシュラ


試写にて。久しぶりの韓国映画。これぞ、韓流ノワールって感じの映画。


豪華キャストで文句ナシなんだけど、ここに、イ・ジョンジェとイ・ギョンヨンssiが加わったら、もう「真っ黒」な色合いの完璧な映画になってしまう。


韓流ノワールと言われる映画って、色合いが暗い。ソウルのような高層ビルに囲まれた洗練された街でなく、人々の生活の臭いや声などの感触が手にとるように分かるアナログな世界観がベースになってるような。。。


入り組んだ路地の先にある隠れ家、錆びた金網に囲まれた屋上。ゴミの散乱する裏道。どれをとっても、怪しい匂いが蔓延してる。そんな街に暗躍するのは、一癖も二癖もある男たち。


街の全ての利権を手にしようとする市長。その市長にパシリのように使われる刑事。市長と刑事の関係に着目し、追求の目を向ける検事。


三者三様。それぞれの思惑が絡み合って、緊張感漂う駆け引きが続く。


冒頭とラストは主人公の刑事の心の声が流れる。心の声は現実を冷静に見極めてるが、実際の彼の行動はどうにも怪しい。何かの枷が彼を押さえつけてるようだ。


そうなのね。彼がどうしても断ち切れない枷は愛する妻。彼女は余命も僅かで、病院のベッドの上でチューブに繋がっている。何としても彼女を生かすために、医者も匙を投げた手術を受けさせようとしている。


彼女は、街で暗躍する市長の異母妹だ。どうしても、彼女を捨てられない刑事はそこを相手に付け込まれ、自らの選択の余地を奪われている。


市長とそれを追う検察。市長のばら撒く賄賂に群がる街の人々。それらの人の渦の中で身動きが取れなくなってくる主人公。


韓国映画で、必ず登場すると言ってもよいほどの追いつめられていく主人公のシチュエーション。でも、今回は強面の人々の暗躍ではなく、社会生活の表の部分で活躍する市長や検察という公務員たちのドス黒い暗躍だ。


最初は主人公の刑事に付き従って、まるで弟のように可愛がられた若い刑事が、検察と取り引きを始めた先輩刑事に代わって、市長の側近として働き始める。


彼は認められたいと思う一心だったのか、しがない街の刑事から成り上がろうと思ったのか、思わぬ過激な行動に出る。慕っていた先輩が黒く染まっていく様を間近で見ていた彼も同じ道に落ちていく。それも恐ろしい速さで。。。


ラストへのカウントダウン。市長の片腕として、どんな時にも側にいた室長が死に、葬儀が行われる斎場に全員が集まってくる。どんなふうにこの絡み合った糸を1つに集約させるんだろう。観てる側にも完全に行き詰まった状況が伝わる。


そこからの激しいぶつかり合い。


恐れ入りました。まぁ、これしかないなと思うラストではあったけど、2時間を超える上映時間、一時も飽きさせることなく一気に観せる見事な展開だった。


場内は韓流スターが出演するということで、ずいぶん女の方が多かった。でも、実際はどう見ても男の闘う映画で、隣のおばさんが何かある度にビックリしたり、顔を覆ったりと忙しかった。


私もちょっと引いたとこもあったし、まぁ、刺激が強い映画だと覚悟の上でご鑑賞を!!!おすすめ。。。