本年度アカデミー賞作品賞受賞作品。試写にて鑑賞。「PLAN B」の製作ですよ。ホントにブラピのプロデューサーとしての眼力には頭が下がる。こんなに優秀な眼力を持ってるのに、なんで、自分の出る作品は当たりが少ないのか(笑)
さて、本編。
静かに始まるオープニング。「リトル」と呼ばれる黒人少年がクラスメイトに追いかけられ、廃屋に逃げ込む。そこは麻薬街で、子供が1人でふらつく場所ではない。
それに気づいた黒人青年。彼は街の売人にボスと呼ばれる。小さな少年が、イジメにあい、自分の置かれた立場に苦しんでいることに気づいた彼は、暖かく少年を受け入れる。
月の出た夜。月明かりの下で老女のまわりを駆け回っていた時、彼女がいった。「月の光を受けて、お前は青く見える。だから、ブルーと呼ぶ」と。
そんなエピソードを語って聞かせるほど打ち解けた2人。
しかし、少年は知る。裕福な彼の暮らしは、自分の母親を蝕んでいくことで成り立っているのだと。。。
その後、月日が経ち、ボスと呼ばれた男は死に、少年は語り合う人を失う。
そんな中で、母親はさらに深い谷へ落ちていき、彼はがんじがらめになっていく。まだ、子供の彼はツラい現実から逃げ出す術など持ち合わせてはいない。
暴力事件をきっかけに育った街を離れた主人公は、かつて自分に手を差し伸べてくれた男と同じ道を歩き出していた。なんという皮肉。彼はそんなつもりで少年に声をかけたわけではないことは十分に分かったし。。。
少年院に入所する前に彼は1度だけ本当に好きな人に身を委ねた。その後、街を離れ、そういった過去も全て忘れようと試みてもいた。
ラストは遠回りをしたけれど、原点に戻ってきたところで終わる。
全編通して、過剰な盛り上げも無いし、これでもかというほどの過酷な日常に直面する主人公のツラさと痛みが描かれているので、誰もが楽しんで観るような内容の映画ではない。だから、大ヒットするようなことは無いと思う。でも、アカデミー賞作品賞受賞がハクになり、公開館が増えたのは良かった。
どんな困難があっても、人は生きていく。太陽でなく、月に照らされることで、違う自分の姿を見ることができる。月夜は必ず訪れる。最初に手を差し伸べてくれた人が言ったように、自分の生きたいように生きる道を選ぶことができる。自分は自分。少年よ、よく生きた。