今日も徒然、中洲日記

ほどほどに映画が好き。ほどほどに食べることが好き。日々気づいた事を綴ります。

娘よ


岩波ホールで鑑賞。初回11時の回でも、結構な混雑で整理番号は50番台でした。


部族間抗争が続く、山間部の村。復讐が復讐を呼び、互いの部族長の関係者を殺し合う状況は深刻だ。


彼らの抗争を止めるためには「絆」が必要だ。そのために、彼らは自分の娘を道具のように使う。まだ、年端もいかない子供を相手の部族長に嫁がせる。親ほど年の離れた男の元に嫁ぐ娘たちは、それが自分たち女性の運命なのだと母も子も受け入れて、今がある。


美しい妻は、まだ10歳の娘に相手部族長との結婚話が持ち上がり、どうにも納得いかず、決死の逃避行へと娘の手を取る。


閉鎖的な村で、夫以外の男の目を避けて暮らしてきた妻だが、彼女には、女性を取り囲む現状を打破するだけの決意と勇気があった。


偶然出会ったトラック運転手の男性に、命懸けで同行を迫り、彼の好意で静かな土地に辿り着き、初めてゆっくりと休むことができた。


自分で人生の選択など許されなかった彼女にとって、自分を助けてくれた男こそ初めて心許せる人物だった。でも、自分の気持ちを素直に表すことを学んでこなかった彼女が哀しい。


彼女に執着する夫の弟が執拗に追ってくるラスト。部族のためには妻より娘の存在が大切な兄に命令され、娘を連れ戻しにやってくる。


精一杯、娘を守った彼女が、凶弾に倒れるが、娘によって再び道を戻るのは、これからの幸せを暗示していると思いたい。


前半の母娘の逃避行は、なかなかスリリング。美しい風景と部族間の抗争の悲しさの対比が良い。後半は、逃避行中に出会った主人公と運転手との淡い恋がメイン。主人公がとても美しい女性で、相手役の男優さんもかなりイケメン。これはダメよね〜(*'▽'*)♪素敵だもの。


決然とした主人公の強い意思を示す目がとても良かった。どうか、幸せになってねと心底思った。


パキスタン映画だそうですよ。衣装や後半で登場する賑わう街の風景や音楽は、インド映画風だった。文化的に似た土壌があるのかな?


娘を愛する母の強さと美しさを劇場で!!