今日も徒然、中洲日記

ほどほどに映画が好き。ほどほどに食べることが好き。日々気づいた事を綴ります。

否定と肯定


タイトルが堅い(^_^;)内容も堅い(^_^;)そして、イギリスの裁判制度を知らないとちょっと意味不明(^_^;)


という映画です!!


戦時中過酷な体験をした証言者の話や歴史上の様々な資料を通して、ナチスの暴虐を知る現代の人々。しかし、それらを曲解し、「ホロコーストは無かった」と言う歴史学者が登場してくる。


この学者の無知を批判したアメリカの女性学者が、名誉を毀損したとして、なぜかイギリスで訴えられる(?_?)


イギリスでの裁判制度の特徴を利用した曲解(汗)歴史学者。原告が被告を訴えて、その罪を証明するのが日本の裁判。ところが、イギリスはその反対。訴えられた被告側がその訴えが成り立たないことを証明しなきゃいけないのだ。


被告側が訴えられるだけで何も出来ない裁判より、被告にも自分の正義を訴える機会が与えられると考えれば、より民主的なのか?でも、なかなか難しい。


これは実話で、高い裁判費用を賄うために、被告となった女性学者は同胞に訴えて、多くの寄付を募ったのだが、あのスピルバーグも多額の寄付をしたらしい。そう、そんなふうに世界的にも話題になった裁判なのだが、相手方のあまりにいい加減な物言いに呆れてしまった。


論文を書く上で、その道のプロである学者とはいえ、多少の間違いもある。それは仕方ない。ところが、この歴史学者の間違いはあまりにも多く、成立しない物事まで、根拠ある論証がなされないまま発表してしまう。ある物を無いと言い、無い物を有ると言う、証明できてないことを堂々と。まるで小保方事件みたい。


それを指摘されても、どこ吹く風だ。これが実話だとは驚きだ。こういう人を相手にする裁判はどれほど大変だったかと思う。主人公の女性学者が思うように進まない裁判の行方にイラつく姿は十分に理解できた。


弁護士たちの戦略が女性学者には手ぬるいとしか思えないのだが、彼らの戦略は徹底していた。ホロコーストの被害者達に再び証言をさせる事だけはしないという点だ。女性学者も当の証言者たちも証言をすべきだと訴えるが、弁護士たちは2度と彼らを傷つけてはいけないと、証言者達を表に出さず勝てる方法を探っていく。


戦略に長け、相手方に駆け引きをしかけながら手を打つ彼らこそ、ある意味、人道弁護士と言えるのではないか。


実話だから、妙なドラマ立てはしていない。それでも、しっかり観入ってしまった。


歴史の証言として、後世に伝える記録として、こんな映画を観ておくと良いと思います。。。法廷での正義は証明され、主人公達は勝訴するが、それは名誉毀損に関することだけ。相手側の歴史認識に関する言い分に鉄槌が下されたワケではないのだ。相手側にも支持する人たちが多くいるのも事実なのだ。