今日も徒然、中洲日記

ほどほどに映画が好き。ほどほどに食べることが好き。日々気づいた事を綴ります。

ザ・シークレットマン


アクションの無いリーアム・ニーソンを楽しめる映画。


アクションは無くても、闘う男を演じてた。有名な「ウォーターゲート事件」に関して、ホワイトハウスとFBIを舞台に繰り広げられた情報戦。神経戦ともなった孤独な闘いだ。


家族をも省みず、FBIの職務に忠実に尽くしてきた副長官。彼が「ウォーターゲート事件」で為した役割を実話を元に描く。


実際、アメリカ本土では「ウォーターゲート事件」は誰もが知ってる政界を揺るがした事件なんだろうけど、私はそんな事があったという認識しかない。こういうシビアな事件の実話ベースのお話は変な盛り上げも無く、緊張感漂う作品が多いけど、やはり、その元となる事件そのものの知識が無いとツラいかも。


今回は、事件の内容そのものより、その解決に至るまでの道筋を追ってるので、裏ではこんな大変な事があったのね的な見方でも大丈夫ではあるけれど。


副長官として、国の安全を保つため、多くの捜査に着手し、手腕を発揮してきた副長官。正義の人として、部下たちの信望も篤い。


そんな彼が唯一執った裏切り行為。それは誰に対する裏切りで、誰に対する正義だったのかが明かされる。


事件の解明については、マスコミがスクープとして扱い、世間を騒がせたが、その出所、「ディープ・スロート」と称されたのは当時、捜査の最前線で指揮を執った彼自身だった。


世紀の内部告発


大統領の指示の元で行われた様々な情報収集活動。その多くは違法で、かつてFBIやCIAに所属し、諜報活動に長けた職員を使い、成果を得ていた。ウォーターゲート・ホテルでの盗聴事件が露見したことが、大統領の元で行われていた違法行為解明の全ての発端となる。


真実を探ろうとするFBIに対し、様々な妨害が起こる。当時の長官の死去に伴い、大統領の信頼篤い長官が就任する。そもそもFBIは全ての組織から独立した存在だ。それはどんな捜査も公平に正当に行うため。だから、代々、生え抜きの職員で人事が執り行われてきた。そこによそ者の登場だ。ウォーターゲート事件の捜査は、この長官が打ち切りを命令する。


妨害ばかりで、遅々として進まない捜査。一枚岩だったFBIの内部にまで妨害の手が。そこで、主人公は自ら、情報をリークする。


FBIに裏切り者がいると疑いがかかり、さらに妨害される。そんな大きな力を誰が持っているのか。主人公はその行き着く先を「大統領」と確信する。


あの時代だからこそ、可能だった内部告発かと。それでも、真実を残すと言う映画の役割は大きい。


副長官を初めとしたFBI捜査官たちの絆。内部情報の漏洩は「ディープ・スロート」だけだったことを考えれば、当時の捜査官たちの秘密保持の姿勢は素晴らしい。彼らの仕事に誇りを持ってこその結果だろう。今もそうした捜査官たちが日夜活躍されてるのだろう。


家族の問題もあり、国を揺るがす大事件も抱え、主人公の苦悩はどれほどだったろうか。それでも、仕事に忠誠を尽くす男の生き様を見る。


リーアム・ニーソンにぴったりの役だと思う。