今度は小説家が書いて、ベストセラーになり、映画化された…まさしく、原作。
『君のためなら千回でも』カーレド・ホッセイニ(ハヤカワ文庫)…
映画化されるまで、この作品を知らなかった。だいたい、作品の舞台であるアフガニスタンという国についての私の知識だって、怪しいもんだ。「ソ連、アフガニスタン侵攻」という一続きの言葉で、かの国の過去に触れたくらいだから。
以下、感想です!
文庫とはいえ、上下巻本だから、長い(^^;)))
主人公達の子供時代の描写が中心の前半は途中で投げ出しそうになった。
主人公はまだ紛争地域ではなかった時代のアフガニスタンに生まれ、その美しい街並み、豊かな日常を心に刻んでいる。その象徴がアフガニスタンの人々のなかでは一つの文化になっている凧上げ…凧上げの場面は本当にその場にいるかのようなイキイキとした描写。
主人公の家の雑用を任されている使用人の息子ハッサン。彼との繋がりの変化が物語の主軸。
自分が誇らしく思っていた故郷の破壊…それも唐突にやってきた武力によって…争いは争いしか生まない。故郷を捨てなければならなかった主人公の父の選択。どれもこれも小説の上でしか理解できない私…
国に残り、紛争の中で暮らし、命を落とすハッサン。
ハッサンの死で、いかにハッサンに支えられて生きてきたのか気づく主人公。いつも、いつも、主人公は気づくのが遅いんだよね。でも、まだ間に合う…ハッサンには息子がいた…
その息子を見つけ出し、アメリカに連れ帰るあたりから、読むスピードが加速する。1度は心を開きかけたその子は主人公の善かれと思った行為に、逆にショックを受け……少年の心にある深い闇。主人公とその妻は笑顔を失った彼をじっと待ち続ける覚悟をする。期待をすればするほど、失望は大きい。少年には少年のそれがあり、主人公には主人公のそれがある。でも、待つことを決める。
人の心を扱った作品。確かにアフガニスタンという国の歴史も語っているけど、それは舞台としてだけ…
最後の最後の数ページに未来への希望が垣間見れる。かなり、ヘビーな作品でした。
物語の半ばでハッサンが主人公に言う言葉。「君のためなら、千回でも」作品のベースに流れてる作者の心情だと思った…
映画はまだ観てないけど、機会があったら、是非とも観たい。
じっくりと読んでほしい作品でした。
外は雨。部屋ではアイロンかけ…まだ、感想を記録してない本や映画がいくつか…少しずつ思い出そう!