まるで昨年のオスカー争奪戦さながら、先行逃げ切りを目指したのか目指さなかったのか…「ソーシャル・ネットワーク」
その「ソーシャル・ネットワーク」有利の下馬評をなんなく覆して、作品賞・監督賞・主演男優賞・脚本賞と物語の根幹たる主要4部門を独占した「英国王のスピーチ」
アカデミー賞効果というべきか、上映開始の1時間以上前に残席状況に△がつくほどの混雑ぶり…
結局、まるまる1本待ちで席をとる有り様f(^^;
お話は…カメラの使い方…
素人の私が言うのもなんだけど、役者のアップを多用したお話の運び…
細かな役者の表情の変化で、観る側に言葉以上の物を伝えてくれる気がしたのは私だけでしょうか?
これは、コリン・ファースとジェフリー・ラッシュという素晴らしい役者のなせる技!!
トム・フーパー監督の意図的なカメラ使いもあるだろうけど、こうした意図にそえるだけの力量を見せてくれる2人の名優…
もうそれだけで、この映画を観る価値はあるよなぁ…
劇中に登場する街の風景や建物は時代を感じさせ、アメリカとは違う空気感…(^^;
イギリスを舞台にした映画って、なんか雰囲気が違うよねぇ〜!!
淡々と進むお話…
吃音に悩む王子…
誰も彼の悩みに寄り添うことをしない王室という限られた"世界"で、彼の吃音を1つの"魅力"と捉えた伴侶を得られたのは本当に幸運だったのではないのか…
絶大な王だった父を持ち、奔放な振る舞いで王室というか王座を捨てる兄…
人前で喋ること、いや、人前に出ることさえ苦手な次男坊は、父と兄がいることで、なんとかやってきたけれど、彼らの存在無しにはやっていけない…
そう自分で思い込んでいた"バーディ(彼の愛称!!)"だけど、そう思ってたのは自分だけで、父王も兄も、さらには吃音の治療にあたるライオネルも彼こそ王の器だと気づいてる…
まわりの思いに押し潰されそうになった時、彼はライオネルを拒絶し、立ち去ってしまう…
でも。。。
いよいよ王になる時…
バーディはライオネルの元を自ら訪ね、謝罪する…
多分、彼は初めて友情というものを知ったんだろう。
第二次大戦に突入するという大変な時代をある日突然任された王様…
自分の悩みにだけ頓着出来なくなった彼のリーダーとしての力を国民に示すための「戦争スピーチ」
スピーチにむかう前後で、コリン・ファース演じる王様の表情が変わる…
アップされた彼の表情だけで、王様の威厳を身につけたスピーチ後の様子を演じて見せる…
第1選択肢はコリン・ファースでは無かったいわれるこの役…どうして、どうして、コリン・ファースのために用意されたかのようだ!!
スピーチ後、バルコニーに出て、国民に手を振る姿は堂々としたもの…
その後ろ姿をじっと見つめるジェフリー・ラッシュの表情がまたよいではありませんか!!
肝心なところは役者のアップを使い、その表情で語らせる…
お話の内容と配役と役者の力量とが、がっちりハマった作品だと言えるのではないかしら…
それにつけても、こういったお話を映画化しても大丈夫な(そりゃあ、細々問題はあるんだろうけど…)英国王室の懐の深さに畏れ入る。