今日も徒然、中洲日記

ほどほどに映画が好き。ほどほどに食べることが好き。日々気づいた事を綴ります。

わたしを離さないで


日比谷のシャンテにて鑑賞。


静かな静かな物語の始まり…冒頭、あまりにも「普通」な日常の描写の中に、登場人物達の悲しい末路を感じさせる場面はほとんど無い…


ヘイルシャムで寄宿生活を送る彼らは、そうやって、外部との接点を遮断され成長する。


原作を読んでないので、映画だけを観た感想としては、彼らはあまりにも従順すぎるように感じる。


自分で自分の道を切り開こうとはしない。


いろんな希望は持つが、ダメだと知ると、自分の「運命」を静かに受け入れる…


ラストの主人公の横顔が美しい…


キャリー・マリガンとして「美しい」というんじゃなく、介護士の役目を終え、提供者としての定めを静かに受け入れようとするキャシーとしての「美しさ」


手首をセンサーに近づけることで、自分の居場所が管理される「提供者」


逃げられない…逃げるという発想すらない彼らに、「生きる」ことの意味は正しく伝わっていたのだろうか…


物語が書かれた時はほんのちょっと先の未来のお話だったのだろうが、実際に映画化された「今」、映画の舞台となる時代は「現代」だ。


私とほぼ同世代のはずの登場人物達の姿が凄く胸に迫る…


私の知らない世界で現実にありそうな…そんなふうに感じてしまうほど、「普通」に生きている登場人物…


残虐なシーンを畳み掛けてくるホラー映画より、よほど怖い…


東日本大震災の後の人の生死に敏感な今の時期にこの映画はちょっときついなぁ…


ところで、成長した登場人物の子供時代…


キャリー・マリガンキーラ・ナイトレイの子供時代を演じた子役は雰囲気の似た「面影」を感じるキャスティングだった。


でも、アンドリュー・ガーフィールドの子役は雰囲気違いすぎで興醒め…


そんな残念な点が妙にひっかかる映画だった。


近いうちに原作を読んだ方が良いかも…いろんな疑問をクリアーにするために。