いやぁ〜、久しぶりにちゃんと1冊読みきった〜(^^;
なんだか、本を読む気になれなくて、図書館から予約本が届いたとメールがあっても、なかなか本を手に出来なかったf(^^;
こういう「読書スランプ(!?)」が結構あるだなぁ。。。
東北・関東大震災の後、自分で出来ることって節電くらいしかなくて…
ダラダラとテレビを見るのを止めて、「地震酔い」対策で休息をとったり、歩いて買い物行ったりして工夫をしてみたんだけど。
まぁ、読書はその一環!!
ただ、たまたまこの時期に届いた予約本が湊かなえさんの作品だったというのはご愛嬌って感じだ。。。
毎回、救いようのないお話で、もう湊かなえさんの作品を予約するのは止めようって思うのに…
よりによって、こんな時に…
でも、他に無いし、仕方なく読み始めた…
では、感想を。。。
「往復書簡」のタイトルの通り、手紙のやり取りを時系列で読んでいく。
1冊まるごと、同じ人の手紙ではなく、3編の往復書簡で構成されている。
短編小説と言ってよいかな…
でも、「告白」のような連作小説ではない。
3編のそれぞれにはなんの関連も無い…と思う。
それぞれ、みな手紙のやり取りをする人のごく限られた人間関係の中で、過去にある「事件」が起こる。
その「事件」を巡る文通だ。
昔、昔…
「アタックNo.1」でこずえと努君のやり取りの中で、「手紙はいつも以上に気持ちを吐き出してしまう」なぁ〜んていう場面があって…
子供心に「そうか、手紙って、自分に正直になれるんだなぁ…」と。
いつまでも、いつまでも、私はそう思って大人になった。
今や、手紙なんて滅多に書かない…電話かメールが連絡手段だもん…
だから、新鮮だった。。。
でも、読んでみると…
社会的にもある程度立場のある人が手紙の書き手にいるのに、その文章は話し言葉のようだ…
ちょっと、これには違和感を感じた。
たとえ、ごく親しい友人であっても、「手紙」という形式をとる時、人はもっと慎重に言葉を選ぶと思う…
そして、表現も、ほんとに話し言葉のまんま…
結局、この違和感が3編共に「どこかに"事件"の大どんでん返しの伏線があるはず」とこちらに思わせる。
今回は「大どんでん返し」とまではいかず、いつもの救いようの無さはなんとか回避できたけど。
「事件」の真相とその時の心情は、当人にしか分からないけど、そこに関係した人々は自分の尺度で事件を判断し、当人の心情を慮る…
その両者の思いには微妙なズレが生まれ、時としてそれは修復し難い溝を作る。
今回の3編の当事者達は、溝を埋める機会も無いまま、10年、15年、20年の時を過ごした。
「手紙」という手段を使ったことで、思ってもいない「言葉」や「思い」が吐き出され、溝が埋まっていく…
それは事件当事者が歩み寄るという溝の埋まり方ではなく、読み手の私達が事件全体を把握するための埋まり方…
やっぱり、登場人物達の往復書簡じゃなくて、ただの小説だ!!
湊かなえさんは面白い!!