先日、腸閉塞と肺炎の影響で酷く痩せた姿で観客の前に姿を現した原田芳雄さん…
主演俳優として、観客へ作品を御披露目するために登壇したのだ…
本作「大鹿村騒動記」の公開直後、原田芳雄さんは還らぬ人となった…
原田さんの遺作となってしまった本作を観ておこうと思った人が多かったのだろう…
劇場に空席は無く、立ち見の観客もいる。
そして、本作が遺作であるという話題だけで客を呼んでいるわけではないことは上映後、まもなく分かってくる…
まず、若い役者が出てこない!!
松たか子さんは確かに若いが、既に彼女より若い女優はわんさかいる(((^^;)
そうそう、「花より男子」で井上真央演じるつくしの弟役・富浦君が登場する!!
彼はダントツに若い!!
そうなんだ!!
富浦君が浮いてしまうほど登場人物達は、おじさんにおばさんだ!!
確かな演技力、そして、存在感…
原田芳雄さん演じる風祭源さん(ゲンの字あってるかな?)が300年続いた村の伝統「大鹿村歌舞伎」に全力を傾けて日々を送っている…
そこに富浦君演じる雷音(ライオンと読む)君がバイト募集に応じて、訪ねてくる。
なんにもない田舎に自らやって来た雷音君を訝る源さん…彼は、自分のことを誰も知らないところに来たかったと言う。
何かいわくはありそうだけど、深く追及せずに彼を受け入れる…
源さんのこういう姿勢はすべてに通じていく…
「歌舞伎」が1番で、後は…別に投げやりでもなんでもなく、広く受け入れる…
多分、こんな人だから、18年前に自分の妻と幼馴染みとが駆け落ちしても、同じ村で、同じ家で、同じ仲間と生きられたんだろう。
妻の相手役をしたことが縁で、結婚することとなった歌舞伎…
妻の出奔した後も源さんは舞台に立ち続けた…
相手は、村のバス運転手…
ところが、彼は本番を目前にした時に村を襲った台風による土砂崩れで怪我をしてしまう…
さぁ、大変!!
でも、これはまるで予定調和みたいなお話…
だって、駆け落ちして幸せに暮らしてるはずの2人が村に帰ってきていたのだから…
アルツハイマーと似た痴呆症状の出てきた妻をもて余した幼馴染みが、源さんに妻を帰しにきたんだ!!
妻は完全にボケちゃってる時もあるんだけど、妙にしっかり記憶が戻ることもある。
未だに当時のセリフが出てくる…
そして、当然、バス運転手に代わって舞台に立つわけだ!!
舞台にあがってる間はしっかりしてた記憶も終わってみれば、元通り…(((^^;)
元通りだけど、新しい日々が始まる…
富浦君はきっと新しい自分の人生を進むだろう。彼には、大切な人が出来たから!!
富浦君と大切な人とのやり取りは全く2人だけのシーンだ。
主要人物達との絡みは一切無いけど、ちゃんと映画の一部になっていた!!
誰が大切な人かは、映画館で!!
ラストで、佐藤浩市さんのバス運転手がびっくりすることをしちゃうんだけど、笑わせてもらえます(^-^)v
結構、ヘビーなことを扱ってるんだけど、人間っていいなぁと思わせてもらえる映画です(*^^*)