今日も徒然、中洲日記

ほどほどに映画が好き。ほどほどに食べることが好き。日々気づいた事を綴ります。

いのちの子ども


ヒューマントラストシネマ有楽町にて、7月16日公開!!


パレスチナ問題を根幹に取材を続けるジャーナリストが、パレスチナイスラエルの両者の治療を行う架け橋的存在の病院で出会った入院患者…


彼はまだ母親に抱かれて1日のほとんどを過ごす赤ん坊…


ガザ地区では治療もままならず、免疫不全のため、死を待つだけの毎日…


彼と家族にまず手を差し伸べたのは、架け橋的存在の病院に勤める医師。


彼と家族と医師の姿を追ったドキュメンタリー…


ヘビーだけれど、敵対する国の医療に自分の大切な家族を託さねばならない現実に悩む母親の姿は印象的だ。


敵対する国に篤志家が現れて、匿名で医療費を寄付してくれるという…しかし、両国の悲しい歴史に翻弄されてきた母親はそれを素直に信じられない。


カメラに向かって、感謝の言葉より先に「どういうつもりか…」という猜疑心に溢れた言葉を発する…


これが現実だ。


両国の歴史が人の心に残す影…しかし、当事者達はそれを「影」などとは思わない。


三者の立場でカメラを回し続けたジャーナリストも母親の頑なな心の壁に打ちのめされる…


普通ではあり得ない善意をたくさん受けながら、赤ん坊が死の淵から生還したら、聖戦に送り出す…と言ってのける母親。


みなの善意が通じない心の壁に打ちのめされるのは観てる私も同じだ。


しかし、様々なことがクリアされ、落ち着きを取り戻した母親がポツリポツリと発し始めた話は単なる言い訳と片付けるわけにはいかない。


ガザ地区に戻ると敵に命乞いをした親と言われ、非難中傷がネット上を駆け巡る。赤ん坊が元気を取り戻した時、親子はその非難中傷の中に戻らねばならない…辛い現実社会で少しでも生きやすくするために、子どもは戦士にと宣言してみせた…と。


しかし、イスラエルの人間として暮らすジャーナリストにはその母親の「真意」が「ごまかし」にしか聞こえない…


長い紛争の歴史が人々の心に「不信」という大きな根を張らせたんだ。


そうした取材される側と取材する側との間に、医師は立っている…


AC広告で「国境なき医師団」を紹介しているけど、実際に紛争地帯に出向いてる医師だけでなく、現場で医療行為を続ける医療達にも「国境」は無いんだ…


その人の国や肌の色、政治的信条など一切かかわりなく、「いのち」として、救うことを1番に考え、手を尽くす。


三者三様の立場があって、様々難しいこともあっただろう。数多くの事例のなかで、たった1つ上手く運んだだけなのかもしれない。でも、たった1つであっても、将来の希望になる。


そして、希望は多くの人々が心を合わせていかなければ手にすることは出来ない。


敵対することではなく、話し合うこと…母親がラストで語る言葉は重い。


最後に一言…


映画上映前にパレスチナ問題の概要について、3分ほどのレクチャーがある。


これに登場するのは、例の大桃美代子の元ダンナで、麻木久仁子の愛人だったジャーナリスト…すぐ名前を忘れる。


彼はジャーナリストとしては優秀でパレスチナ問題にも詳しいのかもしれないが、映画の内容を考えたら、彼の登場はいかがなものか。


しかも、レクチャーというほどのことも無い、私でも知ってる程度の話をしただけだ。


これなら、安藤優子木村太郎でも十分だ…この2人については、どこが凄いのか分からないので、例えとしてちょうど良い…


こうしたレクチャーを提供するというせっかくの試みを無駄にしないでほしい…そう思った。


映画でなくても、みなの目に触れるNHK辺りでドキュメンタリーとして放送してほしいくらいだ。