今日も徒然、中洲日記

ほどほどに映画が好き。ほどほどに食べることが好き。日々気づいた事を綴ります。

真夜中のゆりかご


試写会にて観賞。


「未来を生きる君たちへ」のスサンネ・ビア監督作品。


スサンネ・ビア監督って、女性なのね…アカデミー賞外国語映画賞を取ってるそうですよ、「未来を生きる君たちへ」で。


「未来を…」は劇場で観てますが、他の作品は知りません。あれも閉塞感いっぱいの映画でしたから、本作も多分そんな感じだろうと…


観たまんま言うと、確かに予想通り。


あちらは少年でしたが、こちらは赤ちゃんが大きなポイントになります。


一応、試写なので、ネタバレ禁止でコメントしてくれと言ってましたが、そうしたら、この映画は語れることが無くなります。


美しい風景とか、素敵なお家とか(笑)


主人公は、赤ちゃんが生まれたばかりの刑事。ことのほか大切に育てている彼。夜泣きが酷く、育児疲れの妻に代わり、夜中のドライブをして赤ちゃんを落ち着かせる。


彼は、苦もなくこなしてるようだけど、そんな彼を見つめる妻の目が…


この妻の顔を見て、「ゴーン・ガール」のロザムンド・パイクに似てるなぁ〜と思った。


でもね、終映後にチラシを見たら、全然似てないの。なぜかしら?


多分、彼女たちの醸し出す雰囲気が似てたんだと思う。なんかやらかしそうな雰囲気が見え見えの女優ということ。つまり、下手くそってこと‼


怪しい影を感じさせるのと怪しいのが見え見えなのは違うでしょ?


あんな女房を見て、何も感じない亭主って、おかしいよ。あきらかに怪しい。


確かに子育ては大変。しかも、女房の生い立ちが、というより女房と実の親との関係が上手くいってないのが彼らの言動で感じ取れるので、孤独なのだろう。女房は追い詰められている。どうにもならない赤ん坊に手こずって…


そんな時に、真夜中のゆりかごの中で事件は起きる。


そして、刑事はおそろしく短絡的にとんでもないことをする。


妻を救うために。そして、1つの命を救うために。それは傲慢としか言いようのない彼の理屈で…


あぁ、ダメだ。╮(╯-╰")╭


こうやって、書き始めると全部語ってしまいそうだ。やめとこ〜っと。


特にひねりのある展開ではないし、基本的に登場人物は1人除いて、良心のある人たちだから、ラストは収まるところに収まっていく。


このことがきっかけで新しい道に踏み出せた親子が、幸せに暮らしている姿を映し出して終わるラストに少しだけ心が和らいだ。


内容については、このくらい。


実はこの映画では他にもいろいろ考えた。それは赤ちゃんの扱いについて。ちょっとびっくりした。


育児放棄に近い形で放っておかれる赤ん坊。うんちをしたオムツも替えず、トイレの床に寝かされている。


そんなシーンを本当の赤ん坊を使って撮っている。もちろん、オムツは細工してあるものだと理解しているし、トイレといっても汚れの加工をしているだけの清潔な場所だと理解もしているけど…


日本だったら、撮れないなぁと…そのリアルさに打ちのめされるよね。


本来正しくあるべき人の間違った選択がまわりの人々の人生を大きく左右し、そのことが全てに行き詰まっていた別の人の人生を大きく開いていく。


そんなお話。彼にはそれが救いになっただろうか。


是非、劇場で観てください。ストーリーだけでなく、その舞台となる町の風景がとても美しく切り取られています。あれは、スクリーンで観ないとね。