ポン・ジュノ製作って言うのが1番の売り文句みたいな「海霧」
邦題は「海にかかる霧」として公開。「海霧」で良かったのになぁ〜
また、JYJのパク・ユチョンがこの映画で韓国の映画賞の新人賞を総ナメにしたと話題になって上陸‼
あらためて、ユチョンの人気ぶりを知ることになった。
なにしろ、オープンと同時に先行上映していたTOHOシネマズ新宿では、かなりの入りで、他劇場でも公開が始まると新宿は当然ながら小さなスクリーンに格下げ。ところが、ほとんど連日売りきる状態。
内容だけなら、いくらポン・ジュノのプロデュースと言っても韓国映画に興味のある人しか呼べないと思えるけど、ユチョンのおかげで、普段血なまぐさい韓国映画に足を運ばない女性層を集客できた。
この中で、どれだけの人が「ユチョン、かっこいい‼」で終わらず、韓国映画って凄いじゃんって思ってくれるのか…
客寄せパンダ的存在のユチョンだけど、なかなかどうして。ベテランの一癖フタ癖ある先輩俳優たちを相手に堂々と存在感を示してた。
彼はそのお顔がジェジュンのように超イケメンなわけでなく、ある時は金持ちのボンボンのような、またある時は田舎の純朴なお兄ちゃんのような、どちらかというとお顔で勝負してないとこが、俳優をやるのに向いている。
彼のドラマは結構見てるけど、今回の映画が1番かな。圧倒的な存在感を持つ先輩俳優に胸を借りて、彼の持つ精一杯を演じてみせた感じ。これから、楽しみだ。名前だけじゃなく、中身もある俳優として。
さて、お話の方は…
1990年代後半。厳しい不況下にあって、漁港はどこも寂れていた。
ドンシク(ユチョン)が乗る漁船も乗組員を減らし、修理もままならないオンボロ船で漁に出ている。
つましい暮らしさえ、支えきれなくなってきた状況で、マナガツオの群れを発見するが、絶好のタイミングでオンボロ船のウィンチが故障し、泣く泣く港に引き上げる。
乗組員たちの給料も払えず、家に帰れば、あてにならない夫に愛想をつかした妻は男を引き込んでいた。
にっちもさっちも行かず、かと言って、船乗りが船を手放すなど考えられず、船長(キム・ユンソク)は危ない橋を渡る。
それまで密輸にすら手を出したことがないのに、いきなり密航者を運ぶことになる。
ただ、人を約束のところまで運べば終わりという簡単な仕事だったはずなのに…
海上警察の目を避けるために、密航者たちを魚槽に隠したことが思わぬ事故になる。船内はボロボロで、なんとか修理して誤魔化しながら走らせていたところにトラブルが起こり、密航者たちを死なせてしまう。
呆然とする乗組員。
彼らはその後全てを葬りさるための凶行に走る。わずかに残されていた良心も、海に広がり始めた霧の中に吸い込まれるように消え失せていく。
ひたひたと押し寄せる海霧。手の先さえ見えにくくなるほどの深い霧は、追い詰められていく漁師たちの心理のようだ。
密航船から乗り移る時に海に落ちた女性を助けたドンシク。その後、彼は叔父の機関長に頼んで、彼女だけは暖かい機関室に…
海霧の中での出来事を一部始終見てしまった女性ホンメ(ハン・イェリ)の存在が乗組員にバレた時、狂気の崖っぷちにいた彼らの糸が切れる。
スクリーンから目が離せません。船長が追い詰められていく様はさすがユンソクssiと感嘆符です(*^_^*)
ただ、乗組員たちがそれぞれの勝手な言い分でもつれていく場面はその下地があまり詳しく描かれてないので、海霧の中の特殊な状況からそうなったのか、以前から火種はあったのか、その辺は判断つかないけど、特に気にはならない。
船が最終局面を迎えた時の船長の狂気が凄まじい。
船乗りは最後まで船を守り、船と共にいるのだと…波に呑まれていくユンソクssiの目がいつまでも忘れられない。
そして、海霧が晴れた後。ドンシクとホンメは浜に打ち上げられる。それぞれたった1人の生き残りだ。
そこで終わるかと思ったら、スクリーンは暗転し、6年後…
その6年がどういう意味を持つのか、観る者に委ねられている。
九老にいる実兄を探すと言ったホンメ。その九老で、現場仕事をしながら生きるドンシク。
あの後ろ姿はホンメなのか。あるいはいつか会えると待ち望んでいたドンシクの幻想なのか。そして、後ろ姿の女性と共にいる彼女が6年後の意味するところなのか。
なんとも言えない余韻をラストに残す。
ポン・ジュノのプロデュースばかりが声高に言われてるが、この演出をした監督もなかなか。
これは面白かった。甲板上でのシーンなど、多少荒っぽい演出もあったけど、全体としてみたら、全然オッケ〜( ・∀・)b
正直、劇場数も少ないし、上映数も少ないのが難点だけど、是非ご覧あれ‼