生死の境を自らの力で生きぬいた山野井夫妻の活躍を描いたノンフィクション「凍」の後にいかがなものかと思う本作「天国旅行」!!
いざ、感想を。。。
「天国旅行」三浦しをん(新潮社)
最終ページに初出の掲載紙が披露され、本作が「心中」をテーマにした短編集である…と記されている!!
厳しい猛吹雪と雪崩の中を生還した山野井夫妻の話に感動した直後に「心中」だよ!!
全くねぇ(・・;)
本作中のそれぞれは確かに「死」が語られているけど、いわゆるおどろおどろしい暗〜い影を引きずる「心中」そのものを描くのではなく、死んでしまった人への思いをベースに、これもある意味「心中」?って感じの話や「心中」を発端とした話などが連なる。
「死」への旅…
必ずしも「天国」への「旅行」なんていう呑気なもんじゃないんだけど、三浦しをんさんの筆致は、しんどさが無い!!
そこが良いんだよね、三浦さん!!
それぞれの短編は全く違う「死」を描いてる…
結構リアルにありそうな話もあれば、超ファンタジーもある…
ファンタジーといえるだろう「初盆の客」は面白かった!!
タイトルと内容がピンとこない作品もあるなかで(多分、私のセンスの無さが原因だと思うんだけどね…)、この「初盆の客」だけはタイトルと内容がぴったり!!
三浦さんの書くお話は良い人がいっぱい登場する。お人好しとかじゃなく、人間が「良い」人…
ところが、本作はちょっと違う!!
いやらしい、感じの悪いことをするヤツがちょこっと登場する。
あぁ、こんなヤツいるよなぁ〜ッと思う妙なリアルさを持って描かれている。
そういう意味でも、面白かったなぁ〜(^_-)
そう言えば…
「神去、なあなあ日常」が映画化されると聞いて久しいが、どうなってるんだろう…
かつて、高村薫さんの「レディ・ジョーカー」に「○○年、映画化決定」(確か2年後)と書かれた帯がついて書店に並んだ…
どんなふうに映画化するのか、凄く楽しみにしてたけど、「○○年」になってもなんの音沙汰もなく…
実際に映画になった時は石原プロの渡社長主導で、良くは出来てたけど、徳重君の合田雄一郎はちょっと納得出来なかった(--;)
「神去…」の映画化は、やはりかなり早い段階で公表された…
林業に飛び込んだ青年のあんなに素敵な成長記録を間に合わせで作らないでほしいけど、どんな形で映画になるのかも見てみたい…
「風が強く吹いている」も映画化したんだから、きっと。。。