道尾秀介さんの本は前にも読んでるね。でも、すぐに思い出せない(汗)。本作は、実験的な小説だと聞いていたので、ちょっと楽しみ〜
以下、感想。。。
まず装丁が変わってる。「N」という字は逆さまにしても「N」。そして、著者名が左下と右下にそれぞれ上下を反転させて印刷されている。
そして、本文に行く前に「本書の読み方」という著者からの注意書きが登場する。
ここで、本作が6つの短編で成り立っていること、最初にそれぞれの冒頭部分だけをまとめていること、その冒頭部分を読んで、気になった短編からランダムに読んでもOKな構成であること、その構成の選び方でそれぞれの読み手に応じた小説が成り立つことが示される。
そして、最後に便宜上並べられた6つの短編は、前後の短編と区別するために上下を逆さまにして印刷されていることが示されているが、これが読み出すとかなり不便。
1つ目を読むと次の短編は上下が逆さになるので、一旦ページを進み本を逆さにして読み始める。たった今読み終わったページに向かって読み出すということ。これが混乱の元。
混乱しながらも、私は著者のお勧めを無視して最初から順に読んでいった。1つ目を読んだら、次の短編の区切りのページまで進んで本を逆さまにして戻っていく。それぞれの区切りにグレーのページを挟んでくれてるので多少は助けになりましたよ、道尾さん!
短編連作小説という括りで良いのかな。でも、連作として、物語が続いてるわけではなくて、1つ目に登場した人物が別な話に登場したり、関係したり…
こんな感じなので、時間のある時に一気に読んでほしい作品だ。かなり難しい状況にある人たちのかなり重めのお話なのだけど、そこは道尾さんの腕でしっかりまとまってる短編なので、腰を据えて読める時間があるなら1日で読み切れるはず。
そうして、一気に読むことで、この小説の面白さが増すと思うのね、うん。
そして、小説だからこそのマジックもある。映像化されたら見えることでバレてしまう小説マジックが散りばめられている。
私は順番に読んだけど、ランダムに読んだ人の感想も聞きたいなぁ。。。