今日も徒然、中洲日記

ほどほどに映画が好き。ほどほどに食べることが好き。日々気づいた事を綴ります。

ドキュメント


嫌ミス女王、湊かなえさんの新作です。全然、前情報ナシで手に取り、最初は困惑(汗)。


「ドキュメント」湊かなえ 著(角川書店)


困惑の理由と感想は以下に。。。


















まず読み始めて、「あれ?」「何、この既視感…」的な印象を持ってしまう。そして、読めども、読めどもページが進まなくなってくる。だいたい、いつもなら一晩、二晩で読み切る湊かなえ作品がちっともペースが上がってこない。


嫌な予感で背中が冷える。宮部みゆきさんの「龍は眠る」現象(笑)。最後の数ページになって、初めて「この本読んだことあるなぁ」と気づく現象(笑)。結局、「龍は眠る」って4回くらい読んでるはずなんだよなぁ。でも、今振り返っても1ミリもお話の流れを思い出せない。


まさか、湊かなえ作品でそんなことがあってはいけない!!ってマジに焦る。


そして、本ブログを遡り、湊かなえ作品「ブロードキャスト」に行き当たる。本作は「ブロードキャスト」の続編というべきか。連作小説こそ、湊かなえさんの本流と思ってる私だが、連作が長編の別物として成立しようとは思いもしなかった。


湊かなえさんの「青春小説」だと思うけれど、やっぱり私はちょっと…嫌ミス続きの中で一服の清涼剤的な小説と位置付けても良いのだろうけど、青海学院高校放送部の面々は今どきの高校生としてはかなりハイスペックで、読んでるうちにお話の舞台が学校だと忘れてしまう。


年に1度の放送コンクールに向けて、チャレンジをする放送部員の日常は、学生時代に部活もサークルも一切回避してきた私にはちょっと遠い世界でしかないし、理解も共感も無い。そして、ミステリー要素も無い。おかげで図書館借り出し期間2週間を目一杯使って、やっと読み終えた次第。


放送部の活動に対する主人公の思いや幼い色恋沙汰に端を発した高校としては大問題な事件の勃発、それでも、最後は大団円…まるで、朝ドラだ(汗)。


残念ながら、清涼剤はたまにで良い。たまになら、感動する。「ブロードキャスト」の読後感はもうやってこない。申し訳ない、素直な心がもう無くて…(笑)。


小説だから読むことのできる世界を湊かなえ作品に期待していたのだなぁ…青春小説は別に湊かなえ作品でなくても良いかな(汗)。ただ、「ドキュメント」というタイトルにピタリとハマる終章はなかなかだ。


雑誌連載の単行本化にあたって、書き下ろされた「終章」はしっかりと現在のコロナ禍での高校生たちの思いが反映されている。僅かなページ数ではあるけれど、本作で1番ではないだろうか。さすが、短編の鬼!