こないだ読んだ湊かなえさんの本のタイトルは何だったっけ?
もう最近はすぐ忘れちゃう。
この日記を少し遡れば判明するのに、それさえも億劫だ。
連作小説の湊かなえさんの本領発揮というか腕の見せ所を見せつけられちゃった感じの小説です。
以下、感想…
何の予備知識も無く、読み始めた本作。「楽園」「約束」「太陽」「絶唱」の4つの短編からなるトンガ王国を舞台にした連作小説。
まず「楽園」を読み始めた時、つい最近読んだ湊さんの「豆の上で眠る」を思い出し、なんだか同じ印象を抱いた。
そして、最終章「絶唱」を読んだ時、「山女日記」と同じ印象を抱いた。
まず、「楽園」は震災で双子の娘のうち1人を亡くした母親が、助かった娘に重い枷を背負わせたこと。
これは「豆の上で眠る」のまんまの発想だ。正直、毬絵と雪絵のカラクリが分かった時、この小説はどこに行くのだろうと暗い気持ちになった。タイトルは「楽園」で舞台は南の島、トンガなのに…
ところが、章が進むにつれ、お話のベースが阪神淡路大震災にあることが分かってきて、少しばかり見方がかわってきた。
私にはけして分からない「あの時」のこと。私もけして交わることの無い外側の人間だ。
その恐怖も全てテレビの映像から受け取ったもので、果たして自分の中で本当に感じたことを立て分けることが出来ているのかどうか自信もないし。
特に最終章の「絶唱」に関しては、誰にも嘘は無いし、誰か1人だけが背負わなければならないものではないんだと強く思った。
この最終章が「山女日記」の最後の話と色合いが似てる。
読み終わって、どうしようもなく沈んだ気持ちになってしまう、そんな小説を書かれる印象の強かった湊さん。
ところが、本作はちょっと違うかな。
最近読んだ小説にも言えることだけど、サスペンスやミステリーって感じでもないし、相変わらず人の心の奥深くの思いを形にしてるとは思うけど…
本作も頑張れば、一晩で読める分量なので、しっかり泣きたい方は読んでみたら良いのでは。
そして、読んだ後、必ず天国に近い南の島に行ってみたくなるはずです。