今日も徒然、中洲日記

ほどほどに映画が好き。ほどほどに食べることが好き。日々気づいた事を綴ります。

美術展に行ってみる


パンダが好きで、特に悩みもストレスも無いくせに偉そうに「癒やし」を求めて上野に向かう。実は家庭の主婦は意外に忙しい。だから、月に2回か3回だけしか、上野動物園に行けない。


基本、再優先課題とすべき自分の都合は年に1度の健康診断くらいで、あとはほとんど家族の都合というものに私の毎日は左右される。今となっては体に染み付いてしまって、それが当たり前になってるけど、独立した息子たちからは、そろそろ外に出た方が良いとアドバイスされることが増えた。


いざという時、家族への心配しか無い人になってほしくないそうだ。自分たちは、もうそれぞれ生きたいように生きてるから、自分の心配は自分ですると。


そんな息子たちだから、滅多に連絡もない。以前は連絡してくる時、何かあったのかと恐ろしく心配したものだが、最近ではまるで私を検索サイトと間違えてるんじゃないかと思うような連絡が多い。半返しってどのくらい?とか、ご近所さんへの季節の挨拶って何がいい?とか…


まぁ、それでも息子たちと話す貴重な時間なので、最近のパンダの動向(!)と我が家の近況を伝える。なぜか、パンダの動向(汗)。でも、息子たちはちゃんと聞いている。


そんなある時、せっかく上野まで行ってるなら、〇〇美術館で△△展やってるよ…と言ったのは長男だったかな。うちの息子たちが美術館?成長と共に自分の世界を持って、いつしか芸術にも目を向ける時間を持つことが増えたのか…へぇ〜!


そして、思った。そうだ、美術館に行こう!


上野動物園は予約制。園内は広く、ゆっくり全てを見て回ると1日かかる。宣言中は、厳しい人数制限をしてるので、園内は密を避けてゆっくり過ごせるが、歩きが基本だから疲れる。だから、2週間に1回は行ってるので、今回はパンダと象、次はパンダと猿…といった具合に的を絞って観覧している。そのため、時間的には1日使うこともない。


そうして、できた時間で美術館に行ってみた。7月と8月で、東京国立博物館の「国宝 聖林寺十一面観音菩薩立像展」、「聖徳太子法隆寺展」、東京都美術館の「イサム・ノグチ 発見の道展」…


思わず、美術展の方が時間をしっかりかけて観覧した。


このブログを見ればわかる通りだが、元々は映画が好きで、観た映画の感想を書き留めるために始めた始めたものだ。でも、コロナで密室に長時間、素性の知れない人たちと過ごすことの怖さに映画館へ足が進まなくなった。映画館も初めての経験に対応が定まらず、休館したり、座席制限を設けたり、試行錯誤を繰り返してきた。ワクチン接種が進み、これからは本当にコロナと共に生きる生活を模索しなければならない状況になった。


でも、まだ私自身の覚悟が出来ていない。観たい映画は数々あったが、劇場の対応をみて、観るかどうか決めた。全席販売しているシネコンはやはり怖かった。だから、ミニシアターながらも座席制限をし、時間間隔に余裕をもたせて上映してくれる劇場でかかる映画しか実際には観るための選択肢に入らなかった。


その点、美術展はちょっと違う。もちろん入場者数の制限をし、開館時間短縮など行政の指導にそって対応してるのは同じだが、圧倒的に違うのは、自分のペースで観覧できること。


コロナのせいで海外との交流が制限されているためか、行列ができるほどの人気展は少ないし、もちろん重要な作品の展示はあるけど、密を避ける意味でもあるのか、宣伝が控えられているように思う。


おかげで、上記3展共にゆっくりと自分のペースで観覧出来た。


そう、その事が大事なんだと思う。


1席空けの隣の人が何度も咳をしてるような状況で2時間同じ場所に座り続け、映画を観続けることがどれほどの恐怖か…


昨年来のコロナ禍で、そうした自分の思いはありながらも、芸術に触れる時間を持ちたいという相反する思いをクリアさせてくれたのが美術展…


この1年で10ほどの美術展に足を運んだ。こんなに訪ねたのは初めてだ。映画も同じで、人が魂を込めて打ち込んで形になった作品に触れることは、心の栄養になる。良い時間を過ごせたと思っている。


ただし、「007」だけは映画館で観たいけどなぁ…