読後、救いようのない思いに押し潰されそうになり、毎回、湊さんの小説を読むのはもう止めようと思う。
そんな繰り返し…
でも、また読んでしまった(((^^;)
そんな繰り返し…
以下、感想。。。
なんだか、思わせ振りなタイトルの多い湊さんの小説のなかで、「花の鎖」なんて、ずいぶん普通の小説風(((^^;)
全く設定場面の違う3つの物語が同時進行で展開される。
とある田舎町(登場人物自らがそう言っている…)のアカシア商店街が3つの物語の共通の舞台になる。
第1章、2章を読んでるうちは、アカシア商店街の近くに住む人達の3つの物語が連作されているのかと思った。
だから、章が進むうちにそれぞれの物語の主人公の3人の女性は、きっと商店街で出会って、新しい物語が展開されていくのだろうと…
そんなふうに思いながら、読み進めていた。
ところが、章が進むうち、同じ「時間」の商店街と考えると、「あれっ!?」っていう場面が出始める…
そして、それぞれの物語の主人公である、3人の女性達の人間関係を頭で思い浮かべ、あれっ、もしかして…と。
この物語は祖母、母、娘と3代にわたる「悲しい」物語…
ごく近しい身内の中にあって、1人の男の悲しい死につながる物語が3世代の女性によって語られる。
3世代目の娘は、祖父母や両親にまつわる「物語」を知らずに育った…
それは、両親が賢明な人で、過去をきっちり乗り越えたから…
でも、祖父母に災厄をもたらし、3世代にわたる因縁を生んだ側の「K」達は、いつまでも呪縛を解き放つことができない。
だから、自己満足としか受け取れない方法で、形だけの「詫び」を続ける。
両親が突然の事故で亡くなったのを機に、形だけの「詫び」の謎を解こうと調べ始めた娘に、真実が語られた時…
娘は祖母や両親のように相手側の不誠実を感じとり、一切の関係を断とうと決断する。
やっぱり、親子なんだなぁ〜と。
考え方の系統が同じ環境で生きた人間は当然似てくるわけで…
相入れない家族の物語とでもいうのかなぁ…
アカシア商店街の「梅香堂」のきんつばが3世代の物語の中で、食べ継がれ、このデジタルな時代に商店街に住む「人間の記憶」という超アナログなものを手がかりに「K」を探る娘…
彼女は、身近な出会いに気づいてない…
両親も同じように出会った。娘もきっと同じ道を行く。
3世代の物語を時系列をずらして、「時間」を行ったり来たりしながら、物語を進行し、最初は同じ舞台(同じ時間、同じ町…)の物語のように感じさせ、読み進むうちにそれが時を隔てた連作小説だと気づく…
お見事!!
また、ラストも良い!!
両親の胸を張った生き方にあっぱれだ!!
こんな連作小説もたまには良いな…ただ、頭こんがらがる(((^^;)
このこんがらがり加減は、伊坂幸太郎の「砂漠」以来だ。
やっぱり、湊かなえさんの小説は面白いです。