なかなかまとまった時間が取れなくて、映画館に通えない…僅かな隙間のような時間があるので、そこを有効活用(ง •̀_•́)งそこで読書です‼
この度はまた湊かなえさんです。
以下、感想。
これ、井上真央主演で映画化されたよね?
井上真央が演じたのは、主人公で殺人犯という噂に苦しめられた城野美姫でしょ?
しかし、原作の城野美姫のイメージ(あくまで、私の抱くイメージではあるが…)とは全く重なるところがない井上真央。これはミスキャスト以外何ものでもないんじゃないの?
まぁ、映画は観てないから、実際映画としてどうだったかは分からないけど。原作の城野美姫の設定を相当井上真央寄りに造形しないと無理でしょ?
ということで。本作の感想。
湊かなえさんらしい構成の小説だ。田舎町で起きた殺人事件。美人OLがメッタ刺しされた上、火を放たれるという残忍な事件。
物語の発端は、雑誌記者の元に届いた殺人事件被害者の同僚女性の証言。
被害者の後輩で、被害者とは近しい間柄だった女性。友人として近しいわけではなく、会社の方針に沿って新人と世話係という立場でコンビを組んでいた被害者とその同僚。
同僚の友人がたまたま雑誌記者だったということでもたらされた様々な情報。
雑誌記者は、友人のタレコミに沿って取材をすすめる中で、容疑者として疑われているもう1人の同僚女性に行きつく。
そして、取材と平行してコメントしたSNSのページから、その同僚の実名が明かされ、噂が噂を呼び、尾ひれが付き、捜査機関の発表などお構いナシに容疑者としての城野美姫の姿が虚実織り交ぜて実態もなく広まっていく。
まさにネット社会の怖さを体験出来る。
果たして城野美姫は本当に犯人なのか。
多くの人の証言から美姫の人となりが公になっていくが、本人の思う真実など欠片も無い。そして、本人がせめてもの心の拠り所としていた土地や人も彼女が思うほどのものでは無かったのだと明確になっていく。
結局、錯覚したままでいれば、余計な真実を知らず、幸せだったのに。あらぬ事件の発生で、様々なことが美姫の知るところとなる。
人の思いのなんと不確かなものなのか。
それでも、またその場所に戻っていく。その哀しさ。
雑誌記者が取材を通して出会った城野美姫の関係者たち。そして、彼らの発言から構成されている小説。
そして、それらをまとめた記事に触れた城野美姫本人の発言。
湊かなえさん得意の連作短編ではなくて…まぁこれもある意味、連作か‼小説の内容もさることながら、その構成はいつも感心させられる。あるキーワードに沿った連作短編や書簡のやり取り、あるテーマに関してそれぞれ登場人物の視点から語られる連作など。
今回も後半部に主人公の独白があって、やっと主人公の姿が明確になる。全てを記事の「資料」として構成しているのが面白い。
「資料」としている以上、事件の新聞記事や前半部の取材を元に書かれている雑誌の記事、さらには記者のSNSの書き込みなども小説の一部になっている。
正直言えば、お話自体は全然面白くなかったけど、この構成で楽しませてもらえたかな。
取材時の発言が文字になることで、「あぁ、こういうヤツいるなぁ」みたいな…
人物観察小説と言ってもイイね(笑)