今日も徒然、中洲日記

ほどほどに映画が好き。ほどほどに食べることが好き。日々気づいた事を綴ります。

ブルー・ゴールド


つい先日「天魔ゆく空」を読んだばかりの真保裕一さん。今回は、多分「黒田康作」シリーズ以外では新しい現代小説ではないでしょうか。


「ブルー・ゴールド」真保裕一著(朝日新聞出版)


以下、感想♪






















「ブルー・ゴールド」って、いわゆる「金になる水」のこと。


飲料水としてだけでなく、現代社会の最先端である精密機械にとって、水は大変重要な役割を担う。


だからこそ、ビジネスの目を捉えて、数多の人間が押し寄せる。


真保裕一さん独特の複雑に入り組んだ登場人物達の事情がまた大変。


ざっと粗筋を言おうにも、面倒くさい!!


まぁ、水の利権に目を着けたとある小さな経営コンサルタント会社がお話の舞台。


その会社は誰もが知ってる大手商社を退職したやり手営業マンが社長に就き、かつての勤め先からいわく付きの社員の出向を受け入れ、大手では出来ない仕事を請け負っている。


そこに新たな「いわく付き」社員が出向してきたところから物語は始まり、社長への個人的怨恨に端を発した復讐劇の黒幕と真実を暴いていく…


たった1人で果敢に挑んでいった真保さんの初期小説「小役人」シリーズ。


ある時、1人は2人になり、さらに増え、「ダイスをころがせ」では、半分青春小説のような熱気を発するようになった。


この「ブルー・ゴールド」もどちらかと言えば、そっち系…


自らの仕事の妨害を企てた輩を社員達が手分けして突き止めていく。


普段はそれぞれがバラバラに見えていた社員達が、社長の苦境を打開すべく、「答え」に向かって邁進していく。


同じ会社の社員なのに、相手の顔色を伺いながら、足の引っ張り合いに忙しい大手商社では、感じられなかった熱気と充実感に主人公は戸惑いながら、どんどんと加速していく…


様々な伏線、様々な事情が網の目のように張り巡らされ、ちょっと鬱陶しい感じがしないでもないけど、実はこの「鬱陶しさ」が真保裕一さんの真骨頂ではないかと、私は思ってる。


素人が偉そうにごめんなさいね♪


でもさぁ、「黒田康作」だって、ずいぶん面倒くさいし、あんな人が側にいたら鬱陶しいでしょ?


鬱陶しくて、面倒くさい人を書かせたら、真保さんの右に出る人はそうそういないと思うのよ…(((^^;)


とにかく、面倒くさいお話を読みたい人にお勧めf(^^;