新聞の書評欄で、話題の本として紹介されたことから読んでみた。
「殺人鬼フジコの衝動」真梨幸子著(徳間文庫)
以下、感想…
事件関係者が殺人鬼フジコの来し方を語っていく形で進められるお話…
冒頭の「はしがき」で、フジコとフジコの殺人行を記録した小説の書き手について、簡単な紹介がある。
そして…
フジコの殺人行…
ラストには「あとがき」が用意され、フジコの殺人記録小説の書き手とそれを世に出した人物との繋がりが明かされ、本当の「殺人鬼」が仄めかされる…
本書の中心である記録小説は、思い浮かべるのもおぞましいフジコの身勝手な殺人の描写が主となり、けして、楽しいわけでも、美しいわけでもないのに、とにかく引き込まれて、読むのを止められない!!
こんな小説は珍しい…っていうか、初めてだ!!
総数15人に及ぶフジコの殺人行は、そこかしこに描写の不鮮明な部分が登場する。
さらに、無駄な説明がなされないために読者は、ある大きな疑問を置き去りにする。
それらが一挙に解決するのは、殺人記録の書き手である早季子の妹・美也子がペンをとった「あとがき」にたどり着いた時だ。
すっかり、著者の真梨幸子さんのペースにハマってしまった私…
描写の過激さに驚いて、主人公の哀しい生い立ちに目を背け、この後に救いは無いのか…と思い始めたところで、「あとがき」による解決が披露される。
なんと鮮やかな手法!!
うぉ〜!!そうだったのかぁ〜!!っと。
殺人鬼フジコの生き様はけして面白くもないし、感動もしない。
でも、その著者の手法の鮮やかさに「面白い!!」と言ってしまう小説だ。
間違っても、映像化なんて、しないでね(^-^)v
全く観たいと思わないから…
文字を追い、頭の中で映像化し、想像力の及ぶ範囲で楽しむ…本書はそういう小説だと思う。
映像化なんかしたら、湊かなえさんの「告白」や「贖罪」みたいに超愚作でがっかりするから…
映像化されちゃうとそれぞれの想像力に託された部分が、監督の描く表現に固定化されてしまう。その表現が、自分の思い描いたものと違ったりすると、原作小説がお気に入りであればあるほど、がっかり感は底無しだ(笑)
「告白」はホントに酷かった!!
だから…
私は未だに「悪人」を見ていない…がっかりするのが目に見えてるから…(汗)
まぁ、とりあえず、「フジコ」は面白かったということで…(((^^;)
最後に…
バレなきゃ、何しても良いワケじゃないよ、世の中は!!
以上(^^ゞ