今日も徒然、中洲日記

ほどほどに映画が好き。ほどほどに食べることが好き。日々気づいた事を綴ります。

星の旅人たち


基本的にロードムービーって、あんまり興味なくて、これっていうほど見た記憶が無い…


それでいながら、かなり早い段階で「絶対観よう」と決めていた映画が本作。


別に誰かのファンとか、「巡礼」に興味があるとか…そういった意味も無かった。


だいたい「巡礼」に私が抱くイメージは、あれ!!


道に跪いて、聖地に向かって拝礼し、また一歩進むアレ!!


まさか、最新の登山ウェアに身を包み、ハイキングさながら、歩き続ける旅が巡礼とは思ってもみなかった…


ただ、息子が志半ばで、不慮の事故に合い、「巡礼」の道を歩めなかったことが、生前疎遠だった父親の心を揺さぶる…このシチュエーションが「単騎、千里を走る」の高倉健と中井喜一親子にそっくりだったから…


「単騎」は巡礼ではなく、中国の伝統芸能を辿る旅であったけど…


生前は上手く折り合いのつかなかった関係だったからこそ、死んでしまった息子の「思い」が気にかかるんだろう。


洋の東西を問わず、父親と息子って、そんな関係なのかもしれない。


だから、予告編を観た時、凄く気になる映画だった。


ただ旅をするだけの物語なら、ドラマでも十分だけど、本作は聖地への道中の田園風景や町並みが素晴らしい。


大きなスクリーンで観る価値は十分にある。


息子と共に歩む巡礼の道…


頑な父親は、他の巡礼者と敢えて近づこうとはせず、さらに自分の歩みを「巡礼」とは別物だと言い放つ。


そんな父親の固く閉じられた心の扉を強引にこじ開けるのは…


オランダからやって来たお調子者の巡礼者。


彼は亡くなった息子ほどの年齢で、信仰心より健康面を気にかけ、メタボ体型を治すために歩いている…


だけど、彼は宿泊所や街に差し掛かる度に食べる!!


目的を明らかに見失ってる彼を不真面目だと切り捨てるわけでもなく、主人公は微妙な距離感を持って、彼と道中を共にする。


さらに、新しい旅の仲間を得、互いの悩みをさらけ出し、聖地まで歩む…


父親にとって、息子の遺灰との旅に寄り添ってくれた国も性別も年齢も違う巡礼者達は、かけがえのない「友」だ。


彼らは、旅の終わりを知っている…


聖地まで行った後、誰も言わずとも、最後の海までの父親の旅に同行する「友」。


遺灰を海に返す直前、彼らは父親の元を去る。


その辺の心配りが素敵…


先に逝く人への思いに寄り添う優しい映画…


この前観た「サニー」もそうだったなぁ。


感極まるって感じじゃないのに、涙が止まらない…


良かった(*^^*)良い映画だった(^-^)v