今日も徒然、中洲日記

ほどほどに映画が好き。ほどほどに食べることが好き。日々気づいた事を綴ります。

ヘルプ・心をつなぐストーリー


アカデミー賞でも話題になった「ヘルプ・心をつなぐストーリー」の原作。


地味なテーマながら、主要キャストの3人が揃って「女優賞」にノミネートされるというヒット映画…


その原作ですから…


「ヘルプ・心をつなぐストーリー」キャスリン・ストケット著(集英社文庫)


以下、感想…























映画を先に観てたので、読みながら、主人公のミス・スキーター、彼女がインタビューした黒人メイドのエイビリーンとミニーの3人の姿がチラチラと頭の中に登場する。


小説のイメージと映画のキャスティングはどんぴしゃ(^-^)v


映画では、かなりあっさり描かれていた彼女達の苦悩が、実はかなりハードなものだった。


物語は、ローザ・パークスさんやキング牧師が登場する時代。


舞台となる南部の町ではあからさまな差別が日常となっている。


そんな中で、黒人メイドに愛情深く育てられたミス・スキーターは、自分の留守中にメイドが仕事を辞めてしまったことに酷くショックを受ける…


学生時代を地元から離れて過ごしたスキーターは、自分の友人達のメイドへの振る舞いに疑問を感じ始める。


将来、ライターの職を得たいと願った彼女は、その第1歩のテーマとして、各家庭で働くメイド達から、雇い主である白人の婦人達への思いを聞き取ろうと決意する。


メイドとしての思いを他人に、ましてや白人の雇い主側の人間に話すということは、彼女達にとっては命取りになりかねない危険をはらんでいる。


そんな厳しい状況は、お嬢様育ちのスキーターには考えも及ばない。


そうした全く厳しい船出だったスキーターの「仕事」が、エイビリーンとミニーの協力を得て、彼女達の住む町に「嵐」を起こす過程が、この小説に描かれている。


黒人メイドの支えが無ければ、その日の食事さえまともに食べられないであろう白人女性達は、その現実を見ず、自分の優位を保とうと必死になる。


彼女達の仕打ちに対して、スキーターによって、「声を出す勇気」を得た黒人メイド達は、自分の仕事への誇りを胸に堂々と立ち上がっていく。


中には、雇い主側の思いやりに守られているメイドもいる。


そのことにもしっかり触れた上で、読み手にこの問題の本質を訴える。


作者自身にメイドとの暖かいつながりがあったからこその作品。


出来れば、映画と連動して読んだ方が良いかな(^-^)v