今日も徒然、中洲日記

ほどほどに映画が好き。ほどほどに食べることが好き。日々気づいた事を綴ります。

凍える牙


「凍える」というタイトルがなんだか懐かしさを感じてしまうほど暑い日が続く今日この頃。


来月8日に公開予定のソン・ガンホ氏主演映画の原作を読みました。


「凍える牙」乃南アサ著(新潮文庫)、以下感想…


















東京郊外で起きた雑居ビルの火災に端を発した連続殺人事件。


「凍える牙」を持つ「犯人」を追いつめていく警察官との闘いの記録。


どこまでも男社会の警察組織にあって、かつては、どこか警察の広告塔的な白バイ隊員として職務を遂行していた貴子。


しかし、お飾りでは済まない彼女は自ら志願して刑事部の職に就く。


機動捜査隊の一員として、彼女は水をえた魚のように活躍の場をひろげていた。


そんなとき、東京郊外の火災事故に臨場することになる。


捜査を共にするのは、地元署で当番勤務で、事件直後からかかわっていたベテランの滝沢。


靴底をすり減らし、家庭を省みず、ただ男社会を不器用にまっすぐに生きてきたような男。


まさに、水と油の2人が事件解決の糸口を掴み、捜査をひっぱっていく。


発端となる火災が、火元が唯一死亡した被害者だという証言が相次ぎ、単なる火災から稀にみる殺人事件として、捜査が開始される。


最初の被害者の足に動物に噛まれた跡が残っていたことが注目され、彼の身辺が洗われている間に次の事件が起こる。


今度は、火を放たれることはなかったが、動物により、喉を食いちぎられ、首を折られて殺害されていた。


共通項は動物による噛み跡があるということだけだったが、被害者の2人が10年ほど前の遊び仲間だったことが判明し、連続殺人と認定され、捜査はより大規模になっていく。


どんなに規模が大きくなろうと捜査の基本は地道な聞き取りの積み重ねだ。貴子と滝沢のコンビ、それぞれの視点に立った語りで物語は進行し、ついに直接殺を犯した犯人にたどり着く。


ちょっと考えられない犯人とその犯行。


そこへ至るまでの貴子と滝沢のやり取り。


テンポがあって、グイグイと引き込まれていく。


ちょっと回りくどい犯人周辺や犯行時の描写は、なんだか、小説自体の面白さを半減させちゃってるような気がするけど、まぁ事件のあり方が新しい感じなので、多少ウザい程度の感覚(^_^;


そして、なんと言っても、滝沢役を演じるであろうソン・ガンホ氏のイメージが…!!


もう、ぴったり(^_^)v


多分、日本で映画作っても、演じられるのは彼だけだ!!読みながら、ソン・ガンホ氏の表情まで浮かんでくる(^_^;)


映画「凍える牙」を観る予定の方、必読の書です(^_-)