人類の歴史に迫るドキュメンタリーではありませんよ!!
岩波ホールで上映中の「最初の人間」を鑑賞!!
お話の舞台はアルジェリア…かつて、統治していたフランスとの関係が微妙な時期のアルジェリアを舞台にアルジェリア出身でいまやフランスを代表する作家になった男の話…
「異邦人」で知られるアルベール・カミュの自伝的小説を原作にした映画。
ここ数回、岩波ホールの映画を観ているけれど、ここの作品は重厚というか、ずっしりとした重みに溢れたものばかり…
今回もまさにそうだ。
普段はフランスで自分の家族と暮らす作家が1年半ぶりに故郷に帰国したのは、国を二分する政治状況への講演を求められたためだ。
しかし、すでに両者の隔たりは大きく、国内では、反対勢力に対する武力行使がはびこり、日中の街中で、爆弾テロが頻発する状態だった。
そんな中で、行った講演で、彼の発言は紛糾をさらに大きくさせてしまったかのごとく捉えられ、彼自身の思いが通じない現実を思い知る。
こうした中で、彼の子供時代が挿入される。
長きに渡る宗主国フランスでの成功で、故郷アルジェリアではよそ者とされ、フランスではアルジェリア出身の人間とされ、彼の本当の居場所は何処なのか…
年老いて、故郷アルジェリアに1人で暮らす母親…彼は、自分のバックボーンを探す旅の最後に母を訪れ、共にフランスへ行くことを提案する。
国情の不安を考えれば、当然のことだが、しかし、母親は毅然とした態度で、今いる場所で生きていくことを伝える…
プラント施設建設の大手である「日揮」のスタッフが大勢犠牲になった。
まさしく、そのアルジェリアという国の政治的問題を絡めたこの映画は、悲しいほどのタイミングで公開されていた。
あらためて、かつての宗主国から独立し、自国の問題に自ら立ち向かわなければならなくなって、様々な問題に直面している国の実状は、遠く離れた私たちには分からないということ。
そうした中でも、技術供与という国を代表するプロジェクトにこんなに多くの民間人の方々が参加している現実。
命懸けの現場…
この度、亡くなられた方々のご冥福をお祈りすると共に、けして、武力による解決では連鎖を止めることは出来ないとあらためて感じた。
直接、今回のテロに関連していく内容では無いけれど、アルジェリアの置かれた現実を少し知ることが出来る映画だ。