今日も徒然、中洲日記

ほどほどに映画が好き。ほどほどに食べることが好き。日々気づいた事を綴ります。

インポッシブル


TOHOシネマズ・シャンテにて鑑賞。


やっと観られた(^-^;)前回のアカデミー賞で主演女優賞にノミネートされたナオミ・ワッツ


彼女の怪演とも言える演技…私が彼女に抱くイメージは都会的な洗練された女性なんだけど、年齢を重ね、本作では「母親」として、なりふり構わず、生き抜こうとする強さを体現していて、ノミネートに相応しいと思った。


3・11を経験した日本人にとっては、それ以前に起きたスマトラ沖地震による津波被害はちょっと記憶の中で遠くに行ってたのは確かだろう。


しかし、実際に津波の映像や水に呑まれるシーン、さらには水が引いた後の壊滅的な風景は痛みを伴って、胸に迫る。


覚悟して観に行ったハズなのに、途中、手の震えが止まらなくなって、感動する場面でもないのに涙が止まらなくなった。


どうしよう…


席を立とうにも震えが止まらず、身動きが出来ない。


舞台「イキヌクキセキ」を観た時のようにめまいを感じたり、吐き気がしたワケではないので、呼吸を整えて、とにかく、震えが止まるのを待った。


そうこうするうちにスクリーンでは、諦めていた母と長男の再会があり、恐ろしさからくる涙を越える感動の涙にバトンタッチ出来た。


おかけで、最後まで観続けることが出来た。


私、もう久方ぶりに劇場で大号泣(ToT)


単にお話への感動だけでなく、様々な思いがこみ上げてきてのもの。


世界的にも大きく報じられ、知らない人はいないであろう自然災害。そのなかで、1組の家族がどんな経験をし、どんな思いをし、誰に出会い…そして、どうやって、再会を果たしたのか。


題材は大きなものだけれど、焦点を当てたのは小さな繋がりだけ。


災害全体を見渡すことは無いし、主人公家族は旅行者として、現地を訪れた時に災害に遭遇したので、現地の人々の本当の苦悩や復興への取り組みなどまで映し出すことはしない。


観る人によっては、そうした環境的な部分に目線が一切向いていないことに納得しない人も出てくるだろうなぁ。


でも、これはあくまで、経験者の目線で自分が見聞きした現実をベースにしたお話だから…


この映画は、実話であり、この経験を自ら語った主人公にはどれほどの苦痛があっただろうか…


そこにも思いが至る…


しかし、語ることで乗り越えることが出来ると聞いたことがある。


彼らだけでなく、あの地震を、津波を経験した全ての人が、心のカセを外して語れる環境にあれば良いが…そうした思いも過ぎった。


ある意味、観ておくべき映画だと思った。


災害の混乱の中で、感動的な再会をする家族の物語は、偶然の連続のような中で起きた。逆を言えば、そうした偶然の連続で出会えなかった人たちもいるはずだ。


小さな子供ではなおさら、混乱の中に埋没してしまう。


たとえ、子供であろうとも自立した1人の人間として、立ち上がれるだけの強さが無ければ生き残れない。


これは訓練で出来上がるものではなくて、「育ち」の環境が大きく影響するんだろう。


ナオミ・ワッツの演じる母親を観ながら、自分の母親としてのあり方にふと思いを巡らせてしまう映画だ。


彼女は自分もひどいケガを負っているが、元気で動ける長男に避難所となっている病院の中で、自分が出来ること、自分の果たすべき役割を見つけるように促す。


確かに彼女は医師としての職を持っているので、「使命感」は普通より強く抱いているだろうが、こうした状況下でも他者を思いやり、目を向けることを忘れないその強さには本当に頭が下がる思いだった。


きっと、この家族はこの経験を将来に活かすことが出来るだろう。そう思わせる人たちだった。


災害の場面で苦しく感じてしまう人には無理にお勧めはしないけれど、やっぱり観ておいた方が良い映画だと思う。