重厚感たっぷりに描かれる警察小説…
久方ぶりの横山秀夫作品です!!
やっと、手にすることができ、やっと読み終わったところ(;^_^A
とりあえず、今回は2日で読み終わりましたが、実は前回も挑戦しながら、どうにも面白さを感じることが出来ず、サッサと切り上げたいわく付きの小説。
ところが、今回は完全にハマってしまいました(^◇^;)
以下、感想…
とある地方都市の警察が舞台…
かつて、県警本部の捜査畑で活躍し、強行犯だけでなく、知能犯でも結果を残した刑事・三上。
彼は、セオリー通りなら、先の人事で東京の警察庁本体に出向しているはずの人間。
ところが、彼は組織の論理の狭間でわずかな出世と引き換えに、刑事部から警務部への異動を命じられ、警察の顔たる「広報官」となった。
刑事に未練を残しながら、警務に服するという様々な矛盾…
さらには、彼の所属するD県警で、14年前に起きた未解決誘拐事件。
彼自身の家庭で起きた高校生の娘の家出。
刑事部と警務部との軋轢。
警察記者クラブと広報室との軋轢。
そういった様々な問題に翻弄されながら、三上自身が現在の職務に真っ正面から取り組むまでのホントに数日間を劇的に描いてる。
記者クラブと広報室とで、匿名報道の扱いに関する話し合いがこじれ、最終的に県警本部長まで巻き込む騒動になるあたりの熱いやりとりは「クライマーズ・ハイ」を思い出した。
横山秀夫さんはこういう意地と意地のぶつかり合いのような「闘い」を描いたら、右に出る人はいないんじゃないのかな…
もう、読みながら、その場面が映像になって頭に浮かぶほど!!
小説としても読み応えがあって、読み終わった後の満足感はなかなか他の小説では得られないほどのものだ。
ラストは、組織の中で人間として生き続けることの難しさを感じさせる。「矜持」…
人それぞれの生き様が違った答えを導くのだ。