モノクロで全編を撮影してるが、別に昔の時代物ではなくて、今の話。
頑固者のおじいちゃんが自分に届いた手紙に100万ドルに当選したとかいてあると言って譲らない。
家族がどんなに否定しても頑として聞き入れない。
遠くの町まで歩いて当選金を貰いに行こうと家を出ては、警察署に保護される日々。
詐欺に似たようなものだと呆れながらも父をなだめる次男坊。
彼は恋人と別れたばかり…自分の不遇と母親に罵られる父親の不遇…
彼は、父を車に乗せて、父の故郷経由で当選金を貰いに旅立つ。
まぁ、これが珍道中でね(^◇^;)
故郷の町で、父親が朝鮮戦争から帰還してから人が変わってしまったのだと知る。その話を教えてくれたのは、父親の結婚前の恋人。
優しそうで母親とは全く印象の違う女性に驚く次男。
でも、女性は言う…
お母さんが現れたから自分は別れたと。お母さんは素晴らしいと。
半分惚けてしまったような頑固者の父親を持て余し、毒舌を吐きながら父を罵る母親…母親にガミガミと言われてる父親の姿を見たくなくて旅に出た息子にとって、あの母親が素晴らしいとはとても思えない。
そんな自分の知らない父と母の過去を知る息子。
故郷の町で、久しぶりに親戚が集まり、父親の当選金の話が大きく広がり、かつての借金を巡り、諍いが起こる。
そんな時、一喝して争いをおさめ、父親を助けた母…
大酒飲みで、人にイヤと言えなくて、何かにつけて人につけ込まれるそんな父親を支えてきたのは、歯に衣着せぬ言動で、それらを蹴散らしてきた母。確かにこの母がいたから、父はこんな頑固のままでも生きてこられた。
結局、当選金なんてあるはずもなく、ただの遠出というか、帰省になったしまったのだけど、でも、途中から親戚の集まりのために加わった母と長男を交え、家族の思い出の旅になった。
40年前に貸したきり、ネコババされてしまった道具を取り返してこようと他人の家に忍び込む兄弟。
全く無関係の家だと気づき、母の機転でバレずに返すことが出来て…
家族総出でイタズラするなんて、この家族は上手くいってるよね。
頑固で無口な父親とその父の尻を叩いてマシンガンのように語る母親の間で、兄弟はきっと思いっきり言いたいことを言って、成長してきたんだろうなぁ(^_-)
彼らもお父さん同様、感情表現は下手そうだけど、ちゃんとした優しさを持っているのね。
いい家族!!
全編モノクロって、この映画にはぴったりな気がする。過去のしがらみを辿る旅だからね…
特に大事件が起こるワケでもないし、テンポ良く話が進むわけでもないし、それでも、観終わって優しい気持ちで劇場を後に出来る。
たまには、こういう映画も良いなぁ(*^^)v
そうだ!!
本編の最初と最後にパラマウントの会社のマークというか映像が出ます。(製作会社とかのマーク…これ、なんて言うのかなぁ…)これもモノクロで、しかも昔の映画っぽい絵なの。洒落がきいてるよね!!
自分の家への帰り道。次男は、父が当選金を手に入れたら欲しいと言っていたトラックと道具を買って、父に渡す。
故郷の町を通り抜ける時、息子は父と運転を変わる。父はみなに公言していたトラックのハンドルを握り、晴れ晴れと通り過ぎていく。
良いラストだった。