主演のデンゼル・ワシントンが人一倍優しい心を持ちながら、過去の仕事を精算するために、街の片隅で1人孤独に生きる男を演じる。
最近のデンゼル・ワシントン作品において、ずいぶん年齢を感じさせるシーンが多かったけど、本作はたとえ年齢を重ねても、スピードを必要としない(テンポをつけることで、ただスピードだけでなくという意味…)アクションなら、まだまだ全然オッケ〜なんだと改めて感じた。
全編に流れる空気っていうか雰囲気と映画を後押しする音楽。とても、白髪頭の初老に差しかかった俳優が主演してるとは思えない。
そこで、功を奏してるとおもうのが、最初のシーンでデンゼル・ワシントンがバリカンでバリバリっと頭を刈ってるところ。
これでずいぶん印象が違う。
静かに暮らす彼の職場は、街の大きなホームセンター。そこでは同僚たちから信頼を得ており、警備員に昇格したいふっとっちょの同僚には時間を割いて、トレーニングのお付き合い。
彼は、毎日同じ時間に出かけ、毎日同じように働き、毎日同じ時間に近所のカフェで本を読む。
そして、その生活の中で出会った、一生懸命生きる人達に愛情溢れる眼差しを注ぐ。
淡々と進行する彼の日常から目が離せないのは、あまりに静かすぎる彼の暮らしの影には何かあるんじゃないかと思わせるから。
そして、カフェで行き会った10代の少女が男に騙され、客を取っている現実を知るに至り、静かな生活が一変していく。
彼は、かつCIAに属し、その求めに応じ、実際に手を下す側の人間だったようだ。
最愛の妻を亡くした後、彼は自分の存在を消し、別人として街の中で暮らしている。
折角隠し通した自分を曝しながら、彼はまわりの人々を守っていく。
「人はなりたいものになれる」という彼の信念とも思える言葉。
この言葉によって、自分の道を見つけ出した若者たち。
超人的な強さと賢さを備えた彼だからこそ、救えた命。彼が惜しげもなく、身を投じた戦い。
すっごくカッコよかったデンゼル・ワシントン‼
ここのところ、悪役も多かった彼。
やっぱり、彼にはこの作品のような役が似合う。