今日も徒然、中洲日記

ほどほどに映画が好き。ほどほどに食べることが好き。日々気づいた事を綴ります。

オオカミは嘘をつく


カンヌでクエンティン・タランティーノ監督が大絶賛したというイスラエル映画をヒューマン・トラスト・シネマ有楽町にて鑑賞。


少女連続殺人事件に壁に関わる3人の男が本当の「オオカミ」を巡って真相に迫るお話。


友達と楽しく観る映画ではありません。


好き嫌いがはっきりします。


話の出だしは、そうね、「プリズナーズ」に似た状況。


可愛らしい少女が、友達とかくれんぼをしている最中に姿を消す。赤いジャンパースカートが印象的な少女は隠れたはずの廃屋にある古びたタンスの中から忽然といなくなり、赤い靴だけが残されていた。


そして、少女は無残な殺され方をして、皆の前に姿を現す。体中に暴行の痕があり、挙句に首が切り落とされ、どこかに隠されたままだった。


その後、どうした経緯があったのか、本編ではほとんど触れていないけど、担当刑事は、容疑者を見つけてくる。


現場近くを自転車で通るところが目撃されたらしい。刑事たちの話でその事が分かる。


彼らはいわゆる不良警官で、事件解決のためなら、手段は選ばない。殴る蹴るの暴行を加えながら、脅しをかけて自白を強要するため、人目のある署内ではなく、こちらも廃屋に容疑者を連れ込む。


穏やかそうに見え、けして少女を惨殺するようには見受けられない容疑者。


刑事たちの拷問にも無実を訴え続ける。あまりにやられ放題で、ひたすら無実を訴えるので、本当にやってないのではないかと…


その暴行の様子がYouTubeに掲載され、容疑者への取り調べが難しくなる警察。でも、これは容疑者である男も追い詰める。少女惨殺事件の容疑者であると知れ渡り、彼は教師を続けられなくなる。


刑事にとっても、容疑者の男にとっても不自由な状況に陥った時、あらぬ方向から1人の男が登場する。


発見された被害者少女の父親が、娘の首を探すために容疑者を拉致し、彼なりのやり方で解決しようとする。


娘と同じ目に合わせてやる‼って…


この映画はイスラエル映画。そこもポイントで、とても小さな娘がいる45歳の父親には見えない彼は、出会ったら殺されかねないと思い込んでるアラブ人に囲まれた郊外の空家を手に入れ、その地下室に容疑者を拷問するための準備をしていく。


話の成り行きで、容疑者だけでなく、刑事も巻き込んで、彼らの秘密の取り調べは始まる。


拷問シーンはエグいし、グロいけど、その場でのやり取りは、ブラックな笑いを誘う。


この事件に関わる3人の男にはいずれも娘がいる。容疑者と刑事は離婚を、被害者の父親は妻と上手くいっていない。そんな彼らはにとって、娘の存在は特別だ。同じ状況にありながら、立場を異にする彼ら…この辺りも面白い。


被害者の父親は、常軌を逸して、容疑者に最後の手を下す。その時、刑事にもたらされた「真実」


やっぱり、オチはそこなのね…と。危うく騙されるとこだったわ、素直な私は(笑)って結末で‼


途中、2度ほど登場するアラブ人の男はどんな意味合い?馬に跨り、カウボーイかと思しき風体で、イスラエル人に気軽にタバコを要求したり、携帯を貸したり…


結構フレンドリーな対応の男。これは、国の状況を理解している人にしか分からない描写なのかな…


ハリウッド映画の大作のように最初から世界を見据えて作ってる映画とは違い、土地や時代、政治背景が差し込まれる小品は、世界を知る上でも観る価値ありだと思う。


ちょっとクセ者的な映画です。


オチは読めます。


でも、面白い。


ただ、やっぱり、好き嫌いがはっきりします(笑)