今日も徒然、中洲日記

ほどほどに映画が好き。ほどほどに食べることが好き。日々気づいた事を綴ります。

王の涙 イ・サンの決断


年末のギリギリ12月26日に公開というとんでもないスケジュールで始まった本作。だから、私は当然年明けに観ることに…(>_<)


韓流ファン待望のヒョンビン除隊後復帰第一作「王の涙」


私が韓国映画を観てない時期(私はその前の世代なの…汗)に現れたスターで、気づいた時には入隊していたという大韓流スター・ヒョンビン


でも、場内は私よりおばちゃんが多かったなぁ。まっ、私が20代の俳優を好きなのと立場は同じか(笑)


彼は海兵隊に入隊したので、除隊まで3年。その間、日本では繰り返しドラマが放送され、入隊によるリスクは少なかったんじゃない?


そこがアイドルと違って俳優の良いところ‼


私には「シークレット・ガーデン」の印象が強く、ラブコメの人だと思ってたので、硬派な史劇はどうなんだろうと思ってた。でも、そんな心配はいらなかったわ。


大スターのヒョンビンがイ・サンを演じるため、どうしてもカッコ良く演出されちゃってるのが不満と言えば不満。


弓矢を射るとこなんか弓兵いらないじゃんって感じだし(笑)


老論(ノロン)が牛耳っていた宮殿。王とは名ばかりで、自分の命令を聞かない家臣に囲まれた苦しい状況の若き王イ・サン。


老論にとって邪魔者でしかない彼の暗殺が現実となろうとした、まさにその1日を描いている。


イ・サンが本物の王となった転機の1日を史実とフィクションを織り交ぜながら、人間ドラマとして作り上げている。


様々な韓国ドラマで、人間模様ドロドロの底なし沼みたいな朝鮮王朝を見過ぎたせいで、前面にアクションを押し出して、王を取り巻く人々の絆に迫るこの映画は新鮮。


王の命を狙う暗殺集団の首領は、様々な戦で孤児となった子供達を洞穴に閉じ込めて養い、殺し屋として育てる。


そして、その子供達が長じて立場を異にしてイ・サンのまわりに集まってくる。その因縁めいた出会い。


まぁ、出来過ぎって言えばそれまでだけど、その設定のおかげで、暗殺実行のその日がよりスリリングになった。


前半の淡々とした流れが惜しまれる後半の面白さ。ホントにね。多少の説明的演出は必要だけどね、史劇だから…


イ・サンと宦官カプスの深い絆。


カプスが、暗殺集団に身を置きながらもイ・サンの王としての資質を見抜き、刺客としての立場を封印するに至る過程をもう少し丁寧に描いてほしかったかな。彼の覚悟というか、決意を‼


互いに少年の時に、イ・サンはカプスを唯一無二の家臣と信を置き、その同じ日、カプスも刺客としての剣を手放すことを決めた。


映像が綺麗だったからこそ、そこをもっとじっくり観たかったな。あの雨を飲むシーンね。


長く複雑に絡んだ王家の諍い。上映前に登場人物の画像入りで、当時の簡単な社会情勢についてレクチャーがある。これは親切だな。韓国の人は当然知ってる自国の歴史だろうけど、私達は違うから…


でも、本編は説明的にせずとも、しっかりと納得できる形で進んでいく。こういうところ、もう韓国映画は既に遠くに行ってるなぁと思った。


それから、亡くなった父王の無念を忘れることがないように肌着の内側に書かれた祖父王の血書。王であっても、家臣たちの横暴に手も足も出ないのだ。


この場面、韓国はこういう形で、密書を伝えるのかと思った。そして、密書繋がりで…洗濯女官が王の肌着を届けに来た時、肌着から1枚の紙が落ちたような気がした。


後になって、そのシーンがなかなか良いネタ振りだったことが分かる。その回収される場面は良かったな。ホント、このシーンはなかなかよ〜o(^o^)o


こういうとこがサラッと流れて行っちゃったので、残念だったなぁという印象がある。


まぁ、これだけの話を2時間ちょっとで仕上げるとなれば仕方ないのかなぁ。


面白かったけど、もう少し深く観たかった。そんな映画。


脇を固める俳優たちも素晴らしい。


チョン・ジェヨンssiはやっぱり上手いよね。この映画、実は彼の存在があるから、ヒョンビンが主演として立ってるというか…そして、にっくき敵役がハン・ジミンちゃん。もう彼女の演技には言葉もない。何をやっても上手すぎる。


そして、なにより、子役ちゃん達がまた素晴らしい。ホント恐れ入る。現場では1人の俳優として、厳しく扱われてるんだろうなぁ。だからこその演技だとの印象が残る。


韓国映画だからと敬遠せず、是非ともご覧あれ。アクション映画ですから‼