今日も徒然、中洲日記

ほどほどに映画が好き。ほどほどに食べることが好き。日々気づいた事を綴ります。

パレードへようこそ


シネスイッチ銀座にて、公開初日の初回を鑑賞。


前評判も良かったせいか、思いのほか混んでました。


記憶の片隅にこのパレードのニュースが残っていた。ゲイの権利向上を訴えるパレードの先頭になぜか、ついこの前まで国をあげてストを敢行していた炭坑労働者の組合員たちが‼


多分、その繋がりについてニュースではちゃんと報告したのであろうが、「なぜ一緒に?」って思った印象しか残ってない。


予告編を観た時、「あの時のデモだ‼」と思った。そう、「パレード」ではなくて、「デモ」‼


その奇跡の「パレード」までの軌跡がこの映画。


先日の「イミテーション・ゲーム」で知ったけど、イギリスでは、つい最近まで同性愛は「犯罪」だった。その名残りも強く残っている国で、ゲイの人々はいわれない偏見と差別にみまわれていた。


人として正当な権利を求めて立ち上がるゲイの青年たち。


そんな時、テレビのニュースで自分たちと同じように当時のサッチャー政権や警察と闘っている人々を見つける。


当時、全国の炭坑労働者の町で起きていたストライキ


国の発展に尽力しながら、その働きが認められず、財政再建のためのリストラの対象となり、日々の生活もままならない炭坑労働者たちが起こしたストライキサッチャーは断固とした態度を崩さない。


彼らの苦境を一番理解できるのは自分たちだと立ち上がるゲイの青年たち。「炭坑労働者支援のための同性愛者の会」なんて名前で活動を始めた彼ら。


彼らが街頭に立って、必死で集めた募金。でも、引き受け手がいない。どこの組合に連絡しても、彼らがゲイの団体だと知ると拒絶されてしまう。


そこで、彼らは田舎の小さな炭坑の町に的を絞り、交渉していく。


小さな町はそれだけ閉鎖的で、いくら町一番の募金をしてくれたからと言ってもゲイなど認めるかというあからさまな態度の人々が多い。そんな中でも、胸を張って生きるその姿に町の人々は徐々に心を開いていく。


その過程がなんとも笑って泣ける。


町の人々の中でも、募金を募って配給の手配をする組織委員の女性たちが特に良い。


古い町の風習に囚われず、偏見や差別にも左右されず、新しいものへの好奇心に溢れ、なにより目の前の出来事に素直に心を開いていく。


なんと進歩的な女性たちなんだろう。


彼女たちの存在がこの「パレード」実現にどれほどの力となったか。


いつの世も女性は強い(笑)‼


実話だからこその力もあった。


自分がゲイだとカミングアウトしたために家族と上手くいかなる青年やエイズの発症に心を痛める青年。


炭坑労働者とゲイの青年たちの友情には、単なるストに関する盛り上がりだけでなく、人間同士として深い理解や歩み寄りが感じられる。そこがまた良い。


何の繋がりもないような人々が、手を取り合って笑顔でパレードをする。ほんの少しの勇気とほんの少しの思いやりを持った普通の人々の大きな一歩を映画館で観てほしい。