今日も徒然、中洲日記

ほどほどに映画が好き。ほどほどに食べることが好き。日々気づいた事を綴ります。

高校入試


TBSドラマ「Nのために」が我が家的にヒットした後、久しぶりに湊かなえさんの小説を読んでみようと。今回はその3冊目‼


なにしろ、湊かなえさんですからねぇ。救いようの無い、閉塞感満載の小説だろうと端から決め込んで、本を手に取りましたよ(((;°▽°))


「高校入試」湊 かなえ(角川書店)


以下、感想…

















タイトルの「高校入試」そのまんまの内容。


高校入試のまさにその1日の顛末を綴った物語。


舞台は、閉鎖的な田舎の町。そこにある県下でも有数の県立進学校「橘第一高校」の入試の1日…


県下では「一高」の呼び名で通り、なにより、その学校に進むことがステイタス‼


私、湊かなえさんの作品に見られる閉鎖的な地域性をポイントにした小説って、言わんとしてることは理解できるけど(私も東京の下町育ちで閉鎖的なご近所さんの「監視」の中で育ったからね…)、登場人物たちのようにその中で右往左往するのがよく分からない。


面倒くさい人とは敢えて近づかなかったし、暇人の監視も相手にしなかったし…


でも、そういったカラを破れない人はきっと無理矢理折り合いをつけて、自分の場所を見つけるんだろう。


湊かなえさんの小説の登場人物たちは、みんなそうだ。そして、その無理矢理がプツンと切れて事件が起きる。


パターンって言えば、パターンだ(汗)


湊かなえさんらしい構成の妙で、入試の日を語っていく。


主人公と思われる新任の女性教師。彼女にとって、初めての「入試」


入試前日の準備から話は始まり、「入試をぶっつぶす」という悪ふざけとも思える挑戦状に現場はどう対応するのかを各教師、学校関係者、受験生の目線で語っていく。


語り手が変わる時に差し挟まれる太字の文章は、この顛末が公開された掲示板に寄せられた書き込み。


実際に、入試の当日に様々なトラブルに見舞われる「一高」。その様子が掲示板に書き込まれているのを教師たちはその目で確認し、対処に追われる。


なぜ、現場の人間しか知らないことが公開されているのか…


そこが、謎解き部分。


確かに、入試って人生を大きく変えてしまう。


たった1点の差で明暗が分かれ、その明暗(合格不合格)が果たして本当にその後の人生に光となるのか、暗闇となるのかは正直分からない。


一生を左右してしまう危険のある「1点」に人々はどれほどの神経を注いでいるのか。


その1点の持つ意味を問おうとした企みが「入試をぶっつぶす」ことなのだ。


確かに、こんなヤツって思うロクでもない人間が自分の立場をカサにきて、自分勝手な理論を振り回すのはどうなんだと思ったけど、それでも、やって良いこととダメなことがあるよなぁとも思う。


私は、もちろんこの企みに賛同は出来ないし、なんでこういう手を使って、全てを明かそうとしたんだろうかと理解に苦しんだ。


なんか、面白くなかった。


まだ、単行本だから、今後文庫化された時に加筆修正されてもう少し掘りこんだお話になるのだろう。


そうじゃないと何もかも中途半端で…


やっぱり、湊かなえさんの小説は一筋縄ではいきません。