アダム・サンドラー主演の映画ってドタバタ・コメディのイメージを勝手に抱いてて、劇場はおろか、テレビでもちゃんと見たことがなかった。
この度は、何度も劇場で予告編を観たことや久しぶりのダスティン・ホフマンに惹きつけられて行ってきましたよ、シャンテに‼
相方と2人で劇場に行く時の作品チョイスはかなりの割合で私に任されているんだけど、最近は彼にとっての当たりがなかったらしいのだ。
ところが、地に落ちかけた私の信頼が本作でかなり持ち直しちゃったのだ(*˙︶˙*)☆*°ふふふふふ
98分というかなり理想的な尺の中で、大人も楽しめるファンタジーに仕上がっていた。
代々靴職人の家に育った主人公。父親はある時突然姿を消し、母親と彼は捨てられたのだ。
店は、父の時代から変わらず、店の棚は修理を依頼された靴でいっぱい。
靴に埋もれるようにしてミシンをかける毎日。代わり映えのしない日常。彼らの住む下町は今や再開発の波に呑まれ、理不尽な立ち退きを迫られている人々が大地主と争っている。
彼にとっても、明日は我が身だが、この機に父からの呪縛のような靴店を手放したいとも考えている。
そんな彼にまるで父親のように声をかけてくれるのは隣の理髪店の主人だけ。時には耳にうるさい事も…
そんな、ある日…彼はとんでもないファンタジーな非日常の世界に…
見るからに凶暴そうな黒人男性がやたらと高そうな靴の修理を頼みに来る。いつものようにミシンをかけ始めるといきなり故障してしまう。
すぐに修理しろという客のために地下の倉庫にある代々伝わる古いミシンを引っ張り出した。快調に針を運ぶミシン。
そして、その靴が自分のサイズと同じだと気づいた靴職人。客が約束の時間になっても引き取りにこないので、ちょっと好奇心を働かせて、鏡の前で履いてみる。
すると…
鏡に写る彼の姿は、靴の持ち主のそれになる。
古いミシンで直した靴を履くとその持ち主の姿になることが分かった彼は、代わり映えしない日常から他人の姿を借りて飛び出していく。
けれど、楽しいことばかりじゃない。
調子に乗って他人の姿を借りたことで、とんだ事件に巻き込まれてしまう。
しかし、善良この上ない彼は自分が誤って犯した罪を正直に警察に届けに行く。ところが、現場にあるはずの物がなく、彼はただの虚言癖の男と誤解されてしまう。
この辺りから、主人公のすぐ身近に彼を守る人物の存在がちらつき始める。
その人物の正体がファンタジーでなく、現実として形になるラストはとってもハッピーな気持ちになる。
もっともっと、深掘りしていくことも出来たのだろうが、私はこのくらいの軽いタッチで良いかなぁと思う。
想像力を働かせてみることで、面白さは人によって違うところに見い出せそうな映画。