今日も徒然、中洲日記

ほどほどに映画が好き。ほどほどに食べることが好き。日々気づいた事を綴ります。

ブロードチャーチ2 〜殺意の町〜


砂浜に立ち、見上げると切り立った大きな崖が望める風光明媚な町、ブロードチャーチ。


この町で、親しくしていた2つの家族を引き裂いた殺人事件。


その後の町と事件の公判の顛末を描いた本作。


season1同様全8話。


ある朝、町自慢の崖の切り立つ浜で少年が変わり果てた姿で見つかったことから始まったseason1。


よその町で、大きな話題となった少女の失踪殺人事件で、大切な証拠品を紛失して処分された刑事がブロードチャーチ警察署に赴任してきた。


まさにその時に、小さなブロードチャーチの町を大混乱に陥れる少年の殺人事件が起きた。


相棒となった女性刑事と事件解決に取り組んだ主人公。結末は、最悪の悲しい結果となった。


放送された本国イギリスで高視聴率をマークし、すぐさまseason2の撮影が決まり、同じ英語圏ということで、主人公の刑事を同じ俳優が演じるというアメリカでのリメイク版も登場したらしい。


そして、このseason2。


楽しみにしていたので、一気に見ました‼


あの小さな町で、新たな事件が起きたのかと思っていたら、そこは超現実的な路線を取るイギリス・ドラマ界‼


season1に続く形で、その犯人を裁くための裁判を1つのラインに、そして、主人公がブロードチャーチに転勤するきっかけとなった少女失踪殺人事件の捜査をもう1つのラインにして、主人公の刑事と相棒の女性刑事とが真実を追い求める。


season1は殺人事件の解決が主題だが、こちらは、その事件を本当の解決へと導くための裁判が主題。だから、ドラマのほとんどの場面が法廷でのやり取りになる。


様々な個人的な葛藤を抱え、法廷から離れていた町に暮らすベテラン女性弁護士が被害少年の家族の代理人として法廷に立つ。


相手方の被告人の代理人はやり手で評判のやはり女性弁護士。彼女は、依頼人の利益のためなら、手段を選ばない。ゲスな弁護士ってこと。


どちらとも、弁護士が代理人として事件の「真相」に迫るのは日本と違う。日本は、事件を追求する側として登場するのは検事で、時として「敵」的な描かれ方をする。


ところが、追求する側も弁護士が登壇するから私の抱くイメージとしては、事件解説の導き手というより、本当に被害者の代理的な…


そして、当の裁判は、疑わしきは罰せずのまま、被告人が罪を犯したと確定出来るだけの証言が得られず、さらには、ゲスな弁護士の巧みな戦法に惑わされ、犯人は「無罪」を勝ち取る。


なぜ、犯人は無罪を主張したのか。


まず、そこが全く分からない。season1で自らの罪を告白し、警察でも自白していたのに。


season2冒頭。最初の公判で、被告は突然「無罪」を主張し始める。事前の打ち合わせでも、その意志を見せることもなく、突然の豹変だったことは担当した若い女性弁護士の慌てぶりでも十分分かる。


そこから、法廷を舞台とするなんとも腹立たしいドラマが展開する。


犯人は自白していて、彼の犯行を裏付ける様々な証拠も証言も得られていた。だから、犯人の代理人を務めるのは若手の底の浅い弁護士でも十分で、彼女でも簡単に裁ける裁判のはずだった。罪を認めさせ、相応の判決を得られれば良いのだから。


ところが、犯人の急な心変わりは、彼女の手に負えない裁判の先行きを暗示し、ベテランのゲスな弁護士に泣きつくのだ。


これを1つの流れとし、それに並行して、主人公の刑事が個人的に保護していた以前の赴任先での事件の証人が絡む事件の顛末が進行していく。


逮捕して、ハイお終いというドラマでなく、そこからが始まりという形。


season1で町中を混乱に陥れた事件だけでも人々は傷ついているのに、season2では、被害少年の家族や被告の家族、捜査関係者や町の人々が法廷で証言することで、さらに新たな「真実」が明らかになり、裁判の理不尽さにそれぞれが心を痛めていく。


その点を、この事件に関する人々、それぞれを視点にして丁寧に描いていく。


法廷劇ばかりでは動きが無いからなのか、並行して描かれるもう1つの事件では解決のためにいわゆる謎解きも…


ただ、まぁ、主体はブロードチャーチでの事件なので、もう1つの事件の方は後半にかなり駆け足で解決の道が進んでいく。


どっちも丹念にやられちゃうと確かに8話では無理かな。


そういう意味ではちょうど良いのかな?


そして、ラスト。


無罪を勝ち取り、自由放免になった被告人は、再び町に戻り、家族と暮らしたいと言い出す。


被告人の家族たちも彼が犯人だと確信しており、被告人の意志など汲むつもりは全くない。


そんな、家族や町の人々は、自由放免になった彼を捕え、追放する。


裁判で裁けなければ、自分たちが手を下すのだと被害少年の父親は言う。


まさか、自殺にでも追い込むのかとちょっと引いたんだけど、彼らの「私刑」は町からの追放と更生施設での拘束だった。


町の人々の思いのままの判決が出るわけでもなく、彼らには苦しさが残る結果となったが、そこからも明日を見つめて立ち上がることが出来るのだという人間ドラマとしての結末になっていた。


ラストは、この後も形を変え、ブロードチャーチで新たなドラマを語れそうな具合に収められていた(笑)でも、これで終わりにして良いんじゃないかな?


ホント、よく出来たドラマでした。


season1と2を通しで見るとより分かりやすく楽しめると思う。楽しめる…と言っても、楽しいドラマというわけではありません。


十分、後味悪いです‼


でも、こういう丁寧な作りで、納得がいく内容だから、海外ドラマにハマっちゃう人が出てくるのよね?うんうん(^-^*)(・・*)(^-^*)(・・*)