昨日読んだ「水晶の鼓動」に続く「警視庁捜査一課十一係」シリーズ第4段を読みました。
「虚空の糸 警視庁捜査一課十一係」麻見和史著(講談社NOVELS)
以下、感想…
まず、前作より面白い‼
途中、謎解き部分に進む前に鍵になる人物に気がついちゃって、面白みが半減しちゃったのがちょっと残念だったけど、お話的には前作より面白いと思う。
今回は、都内で発生した殺人事件の裏にとんだカラクリがあったというお話。いくつもの捜査本部が立ち上がり、どれもが1つに集約されていく過程は面白かったし、結局、謎解き小説は着眼点が大事なんだなぁと。
しかし、「警察小説」という言葉を広く知らしめた横山秀夫さんの書く警察小説とはずいぶん趣きが違う。
麻見さんが書く警察小説は、謎解きに重点が置かれていて、いわゆる推理小説的な楽しみもある。
どっちが好きかは、読む人次第ってことかな。
まぁ、私はどっちも好きだけど…
また、1人の登場人物を主人公にシリーズ化されているのも最近の警察小説によくあるパターン。
警察のシリーズっていうと、私にはまず「合田雄一郎」が真っ先に浮かんでくるけど、彼の出てくるお話は妙に堅い事件ばかりで、謎解きを楽しむ要素はまるで無い。事件より「合田」の心理の方が小説の主だったりするから(汗)
作家によって、そのパターンは様々で、読む方もそれに合わせていろいろ楽しむってことで良いんだろう。
半人前の刑事が、警視庁の花形である捜査一課の捜査員に抜擢され、成長していく姿を読者はまるで親のように見守っていく…
しかも、その刑事は女性で小柄で童顔、とても殺人事件を扱う警官には見えない。
それが、実は彼女の武器で、本人には全く自覚が無いけれど、彼女と仕事をした捜査員はみなそれに気づいていく。
彼女の指導官としてコンビを組む先輩刑事は、その捜査能力の高さで課内でも一目置かれた存在だ。
本来、一課と所轄の刑事でコンビを組む捜査本部にあっても、彼らのチームは変更無し。四六時中側にいるから、彼女は自分の不甲斐なさに気づき、自分の目標を定めることが出来る。先輩は先輩で、彼女の素直なひらめきを見ては捜査員としての原点に立ち返ることが出来る。
良いコンビだと思う。
なにより、互いに相手を認めてるのが良い。その信頼感が小説にも現れてるから…
さぁ、次は5作目がある。
図書館ではそれが最新作のようだ。
ちょっといろいろ思い出してたら、高村薫さんの「合田」シリーズとか読みたくなってきた。もうずいぶん読んでないなぁ。新作は出てるのかなぁ。
さてさて、如月・鷹野コンビ、次はどんな事件が待ってるのかな?