今日も徒然、中洲日記

ほどほどに映画が好き。ほどほどに食べることが好き。日々気づいた事を綴ります。

ストリート・オーケストラ


青山シアターのオンライン試写会(なかなか当選しないので大喜び〜☆)にて鑑賞。地味ながら、良い映画でした。そして、考えさせられました。


子供の頃、「神童」とまでもてはやされ、誰もが彼の実力を認めているバイオリニスト。


両親の期待を背負い、都会に出てきたけれど、なかなかチャンスをつかめない。才能に溢れた彼は、友人の紹介でオーディションを受けるチャンスも掴むのだが、舞台に立つと弦を持つ手が震え、その力を発揮できない。


自分の問題であることは本人も自覚しているのだが、殻を破れない。友人からの紹介でスラムの学校で音楽教師の職を得る。それだって、生活のために引き受けた仕方ない仕事だ。


スラムの子供たちは音楽を学ぶことで今の暮らしを抜け出したいと思っている。だから、家族を支える仕事の合間を縫って、練習にはきちんと参加する。


最初はまとまりの悪いアンサンブルも互いに距離を近づけていくことで1つの形になっていく。


生徒の中に「金の卵」がいた。主人公は彼の才能を引き出そうと力を入れ始める。少年を軸に生徒たちもまとまり始めた矢先、事件は起きる。


あっけないほどの少年の死。でも、彼の死が主人公や生徒たちに変化を与える。


主人公は少年の無念を思い、再びオーディションに挑戦し、見事楽団員への道を得る。そして、生徒たちは少年の追悼演奏会で見事な演奏をしてみせる。


スラムの過酷な環境下で生きる多くの人々。親は子に、この世界から抜け出すための希望を託すが、その希望は無残にも打ち砕かれる日常。それでも、また朝が来る


なんとも無情な彼らの日常が重く胸に残る。