今日も徒然、中洲日記

ほどほどに映画が好き。ほどほどに食べることが好き。日々気づいた事を綴ります。

奇跡の教室 受け継ぐ者たちへ


フランスの高校が舞台。冒頭のシーンでイスラム教徒の生徒が母親と一緒に卒業証明書を受け取りに来る。しかし、教員は彼女の学校への立ち入りを拒む。それはイスラム教徒として頭にショールをかけているから…


フランスでは校内への「宗教」の持ち込みを認めていない。在学中は国の取り決めに従い、ショールを外して校内に入っていたが、卒業後にまで制約を受けることが理解出来ない彼女と母親は教員と押し問答の末、学校だけでなく、フランスという国を口汚く罵って出ていく。


母娘の過激な物言いに圧倒されて始まる。しかし、これは物語の軸となる生徒たちとはまるで関係が無く、フランスの公立学校の現状を端的に示しただけだ。


卒業する者もいれば、希望を抱いて入学してくる者もいる。1年生のとあるクラス。全体を見渡すスクリーンに映る生徒達はその顔を見ても人種は様々。冒頭シーンの印象から、このクラスにも様々な問題が持ち上がることは容易に予想できる。


地理と歴史、美術史を担当するベテラン女性教諭が担任となったクラスは初日からドタバタと落ち着かず、先行きに不安が見える。


案の定、他のクラスから大きく遅れ、落ちこぼれクラスと学校中から認定されてしまうほどだ。


そんな落ち着きがなく、互いの立場を理解しない生徒たちに担任はある提案をする。


校長も無謀な挑戦だと考え直すようにアドバイスに来るが、担任は聞く耳も無い。


当の生徒たちでさえ、担任の言葉に耳を貸そうとしない。


そんな中で彼女が挑戦しようと決めたのは高校生が一つの歴史的テーマに基づき研究発表するコンクール。


人種も宗教もバラバラで互いに歩み寄ることも理解することも拒否するような関係の中にいる生徒たちにクラスとして参加を呼びかける。


最初は反発する生徒たちも自分たちを信頼して待ってくれる担任に歩み寄る。


まぁ、その過程はいろいろとあるんだけど、それは観てのお楽しみ。


学校ものの映画やドラマによく見るストーリーではあるんだけど、日本と違い、多くの移民がいるフランスならではの部分もあり、そこはなるほどなと。


結局、コンクール優勝を勝ち取ったクラスはその後みな優秀な成績をおさめ、希望する道へ進んでいく。


ちょっと出来過ぎな感じすらするストーリーなんだけど、実は実話。そこが奇跡の教室なのね。


そして、生徒の中でも中心的な少年は映画の仕事がしたいと希望を持ってた。その彼が卒業後、夢を形にし、脚本家になってるらしい。


彼の存在があったればこそ、彼ら落ちこぼれ生徒にも最後まで希望を持たせてくれた担任教師がいたと知るのだ。


迷いながら、悩みながら、教師や仲間と過ごした時間は宝物だ。