今日も徒然、中洲日記

ほどほどに映画が好き。ほどほどに食べることが好き。日々気づいた事を綴ります。

韓国ドラマ「ありがとうございます」


主演は単独主演を張れる役者、チャン・ヒョクコン・ヒョジンチャン・ヒョクの除隊後復帰作。ということなので、10年近く前のドラマ。全16話。


ソウルとは連絡船で繋がっている離島プルン島を舞台に、恋人を亡くし、投げやりに生きる医者と小学生の娘と認知症の祖父とを養いながら、必死に生きるシングルマザーとの出会いと人生再生への物語。


コン・ヒョジン演じるヨンシンの娘ボム(天才子役ソ・シネ…私は初めて彼女を知った)は以前大きな事故にあい、手術を受けて現在に至る。その手術の時、緊急輸血を行ったのが原因で彼女はHIVに感染する。


担当医(なんと、チェ・ガンヒ‼)は輸血をしなければ命を助けられないという緊急の場面で精密なチェックを怠った。不可抗力とは言え、自分のせいで小さな子供の未来を潰してしまったことに彼女は強い自責の念を抱き、大学病院を辞め、街の診療所に勤務していた。


その恋人ミン・キソ(チャン・ヒョク)は彼女がガンを冒され、余命幾ばくもないことを知る。最後の彼女の望みはプルン島に住む母娘に詫びること。


それまで、心に罪の意識を持ちながらも、仕事上止むを得ず選択した緊急措置であり、ずっと気にかけていながらも直接母娘に会うことはなかった彼女が土産に大きなクマのぬいぐるみを買い求め、連絡船に乗る。


そこで、偶然出会ったボムにぬいぐるみを渡し、息を引き取る。


クマを託した少女が感染者の少女だと知らないキソは恋人の死後、病院を辞め、母親の不動産会社を手伝うことになり、仕事の関係で1人島へやってくる。


小さな島には泊まるところも少なく、彼はヨンシン母娘の家の離れに住むことになった。


父親のいないボムはキソに懐き、いつしか、ヨンシン母娘にとって大事な存在になっていく。


ちょうど時を同じくして、ソウルから島1番の出世頭が帰省してくる。ソクヒョンという彼は島1番の金持ちの息子で、その昔ヨンシンと噂があった男だ。


ボムとソクヒョンの母親の顔立ちが似ていることから、ボムの父親はソクヒョンだとの噂を島の誰もが知っていた。


ソクヒョンはキソの母親の経営する会社に勤めており、そこでリゾート開発の担当になり、プルン島の開発のために会社から派遣された形で久しぶりに帰省したのだ。何年も離れていた島に婚約者を連れ添って戻ったソクヒョンはヨンシンに娘がいることを知る。


年齢的にも自分の子ではないかと疑うソクヒョン。ソクヒョンは島を出る前、友人と賭けをした。ヨンシンをものにできるかと。


自分が賭けの対象になっていたことを知ったヨンシンはひどく傷ついたが、誰にも頼らず、授かった命を育んできた。


久しぶりの再会がもたらすもの。ソクヒョンは8年もの間放り出していたものに向き合おうとする。すでに長い時が過ぎ、ヨンシンの心はもうそこにないのに…


ボムのHIV感染が島の人々の知るところとなり、ボムだけでなく、ヨンシンまでもが避けられるようになる。正しい病気への知識の無い人々に2人は大いに傷つけられていく。


そばで見つめるキソも気が気でない。傲慢で、自分以外に興味の無かったキソがヨンシンとボムとの生活の中で少しずつ変わっていく。


途中、キソは賭博に明け暮れる夫のために喘息の体をおして畑に出ていた婦人を助けられず、誤解した島の人に殺人者呼ばわりされて警察に連行されたり、ヨンシンは自分のHIVが家族に感染したら大変だと家出したボムを高熱を出しながらキソと共に探し回ったり、ネコを探しに行き、土砂崩れにあったボムたちを助け出すため大怪我をしたヨンシンがソウルの病院に入院したり…


いろんな出来事を経験し、乗り越えることでキソとヨンシンとボムは強く結びついていく。本当の家族のように。


右目が左目より大きい人、中指が人差し指より長い人、それは人と少し「違う」というだけで、何も悪いことなど無い。キソはヨンシンにもボムにもそう言い聞かせる。


ボムの友だち、ボラムは国語が得意、チョラム(正確な名前が思い出せない…汗)は体育、そして、ボムは算数が得意。それぞれ違うのだと。


だから、ヨンシンがシングルマザーなのもボムがHIVなのも、人と少し違うということなのだと。


そのキソの言葉を反芻することで、ヨンシンは島の人たちに胸を張って生きていく。ボムはその言葉を胸に学校に向かう。


キソが恋人を失い、自暴自棄になっていた時、救い出してくれたのはヨンシン母娘の優しさとその祖父ミスター・リーの天真爛漫さだった。


そして、ボムのHIV感染が人々に知れ渡って村八分になり、祖父が急死したことで突発的に島を出ていこうとしたヨンシンを引き戻したのはキソだ。


こうして、互いに無くてはならぬ存在になっていったキソとヨンシン。


再び島で暮らそうと荷物を戻した晩、2人が向き合って語ったのは、最初にキソが伝えたただ「違う」ということについて。


1年後。キソがいた離れに人の気配は無く、部屋で食事をしているのはヨンシンとボムの2人だけ。その後、浜で2人が遊んでいるとボムが「あっ」と声を上げ指を差す。


そこにはキソが座っていた。


ボムが「あっ」と言っただけなのがとっても意味深。「おかえり」なのか「久しぶり」なのか。「アジョシ」でもなく「アッパ」でもない。見た人に委ねたラスト。


私的には「アッパ、おかえり」であってほしいな。診療所の手伝いなのか、ソウルでの仕事(母親の会社)なのか、そこから帰ってきて母娘を迎えにきたという筋立てで。


人気役者を主演に立てながらも家族が不治の病に感染したという難しいテーマでのドラマ。確かに恋愛の要素はあるけど、静かに歩み寄る形の愛で、ドタバタは皆無。大人たちがサポートする中、まだ小学生のソ・シネが難しいHIV感染者という役を精一杯演じてる。


これまでにもチャン・ヒョク主演ドラマやコン・ヒョジン主演ドラマは何本か見てきたけど、私としては2人とも本作が1番だった。


古いドラマにもこんなに良いところがあるんだな。古い、新しいは作品の善し悪しには関係ないか(汗)


涙の絶えないドラマでした。超オススメ(ง •̀_•́)ง


ラストでキソが言うんだよね。「ヨンシンとボムは奇跡」だと。自分にとって、2人の存在こそが奇跡なんだと。そんなふうに思えるって素晴らしい。


そして、俳優として活躍を続けるソ・シネが飛び級で大学に進学したと聞いて、その後のこの奇跡の家族の物語も見てみたいなぁと思った。シネちゃんにとっては非常に難しい役になるけれど、しっかり演じられる女優さんだから。


そんな話は無いんだろうなぁ…