今日も徒然、中洲日記

ほどほどに映画が好き。ほどほどに食べることが好き。日々気づいた事を綴ります。

アンナとアントワーヌ 愛の前奏曲


試写にて鑑賞。大人の恋愛もの。つ〜ことで私にはよく分からない世界(汗)


映画音楽家のアントワーヌとフランスのインド大使の妻であるアンナが2日間旅を共にして、惹かれ合うお話。


アントワーヌには結婚を迫られているピアニストの恋人がいて、アンナには社会的に立場のある夫がいる。


出会うはずのない2人が出会う。まぁ、だいたい障害の多い恋愛ものはそんなもんだ(笑)


アントワーヌの友人の映画監督は、インドで実際にあった恋人同士の話を映画化するにあたり、彼に音楽を依頼する。仕事を受けたアントワーヌは単身インドに向かい、インド大使の晩餐会に参加することに。


自由を好むアントワーヌには晩餐会ほど退屈なものはない。それに気づいた大使夫人のアンナが話し相手になり、晩餐会は大いに盛り上がる。


これをきっかけに映画の現場を見学に訪れたアンナたちと親交を深めるアントワーヌ。


東洋哲学の教師だというアンナは、インドの人々の篤い尊敬を受け、信仰の対象になっている「アンマ」のところに夫婦の願いを叶えに巡礼をすることになった。


なかなか授からない子供の妊娠をお願いするために。もう1つ、夫の願いもあったようだが、それは具体的には語られていない(最後まで観れば、それが何かは分かるけど)。


インドに向かう飛行機に乗って以来、原因不明の頭痛に悩まされていたアントワーヌは医師から脳に血栓があることを指摘される。


実利主義のアントワーヌは「アンマ」への思いを熱く語るアンナの話をまともに聞いてはいなかったが、自分に病気の疑いが見つかって、彼も「アンマ」に治してもらおうと列車で巡礼の旅に出たアンナを追いかける。


たった2日間の巡礼の旅だったが、互いの心を確かめるには十分な時間だった。


結婚を考える恋人がいるアントワーヌ、夫がいるアンナ。2人は互いの本心を知りながらも大人の自制心を持って、帰路につく。


出迎えたアンナの夫とアントワーヌの恋人。2人への不安と疑念。結局、繕うこと無く、互いの真実をぶちまけることになった2組のカップル。


運命だの愛だの言ったって、不倫は不倫だから。文化なんかじゃないから、結局は人を傷つけ、自分も傷つく。


でも、そこはみんなが大人。


そのまま突っ走ることなく終焉を迎える。ここは良かったな。これこそ大人の恋愛もの‼4人、バラバラに席を立つところ、誰も追わないし、誰も連れ出さない。未来の4人を暗示してる。


それから数年経ったある日。偶然にもパリの空港で出会うアントワーヌとアンナ。アンナには「アントワーヌ」という名の4歳の息子がいた。


彼女がアントワーヌと名付けたことの意味。夫と別れ、1人で息子を育てているのだと気づくアントワーヌ。夫と一緒じゃ、アントワーヌなんて名前付けられないじゃん(汗)


ラストの様々なシーンはあまり説明的でなく、そこから観た人が感じれば良いように流れていく。


私は2人の新しい日々の始まりだと感じたけど、どうだろう。


アントワーヌたちの巡礼旅の終わり辺りからは、良い流れで見られたけど、前半の言葉遊びのようなやり取りは動きも無く、正直退屈で長く感じられた。


細かいことだけど、途中、何度かアントワーヌとアンナが見た「夢」が現実の続きとして描かれる。まさか夢だとは思えないつながり方で描かれ、それが唐突に現実に引き戻されてくる。観てる側は混乱してしまう。直後に2人はその夢の内容について語るのだから、夢で間違いないのだろうが、なんだかスッキリしない。


「アンマ」を求める人々の篤い信仰心には作り手側の敬意の念を感じた。それを盛り込んでいるので、恋愛ものとしてはちょっと異質な感じがして新鮮でもあった。


異国の文化ってことかな?


そういうワケで内容的には前半はどこかで見たことあるような感じだったので、なんとも…でも、全編にわたって音楽は素晴らしかった。内容より音楽の方が印象深い映画。